ナカコーインタビュー その審美眼で選ぶ、オススメの北欧音楽10曲

ナカコーインタビュー その審美眼で選ぶ、オススメの北欧音楽10曲

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:森山将人 編集:野村由芽、飯嶋藍子
2017/06/22
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スウェーデンのABBAやThe Cardigans、アイスランドのビョークやSigur Rosなど、各国がそれぞれの文化を築き、個性的なアーティストを輩出している北欧の音楽シーン。その背景には、昔ながらのクラフトマンシップと最先端技術との融合があり、ビョークはまさにその代名詞だと言えよう。

そこで今回は一昨年にTwitter上で「100年後も残ってほしい曲」として100曲を紹介するなど、いちリスナーとしても独自の審美眼を持つ、ナカコーことKoji Nakamuraを迎え、「オススメの北欧音楽10曲」を挙げてもらった。

また、昨年オンラインショップ「meltinto」を立ち上げるなど、デジタルとアナログを横断しながら、「音楽の残り方」の模索を続けるナカコーに、現在の行動原理についても話を訊いた。

ヨーロッパは楽器と音楽が表現の中で合致していて興味深いですよね。

―ナカコーさんは「北欧の音楽」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

ナカコー:近代的なものであれば、ビョークが一番に浮かびますけど、伝統音楽も面白いものがいっぱいありますよね。北欧のみならず、ヨーロッパは弦楽器ひとつとってもさまざまで、電子楽器も、自分でオリジナルのマシンを作って演奏する人たちが多かったり。楽器と音楽が表現の中で合致していて興味深いですよね。そういうのは西洋人の根底にある部分なのかなって。

Koji Nakamura
Koji Nakamura

―ご自身の表現において、北欧の音楽からどんな部分で影響を受けていると言えますか?

ナカコー:僕にとって、「この人はどこの国で」っていうのはあんまり関係なくて、鳴っている音で判断します。例えば、今回のリストで挙げているリッキ・リー(スウェーデンのシンガーソングライター)は、彼女がデビューしたときに聴いて、面白いアプローチをしていたので、「だったら、こう解釈してみよう」とか色々考えましたけど、彼女が北欧の出身だっていうのを知ったのは、後からなんです。なので、意図的ではなくとも、実は影響を受けているかもしれない。

―そのリストに関してですが、最近のナカコーさんの趣向からして、アンビエントとかドローン系のアーティストが並ぶのかもと思ったのですが、思いの外ポップな印象を受けました。

ナカコー:いま言ったように、あんまり僕は「この人はどこの国で」って考えないので、改めて北欧のバンドや音楽を調べながら、「この人、北欧だったんだ」って感じで選んでいきました。

Koji Nakamura

1曲目:Bjork / Hyperballad (アイスランド)

ナカコー:ビョークは「北欧」で選ぶなら絶対入りますよね。彼女は、音楽におけるテクノロジーと表現の関係性と可能性を、かなり大きく広げたと思います。“Hyperballad”は一番好きな曲です。1996年の曲ですけど、いま聴いても美しいバランスだなって。いまもこれを目指して多くの人がミックスをしていると思うし、それだけこのサウンドは強いメッセージだったんだなって思います。

2曲目:The Royal Concept / Gimme Twice(スウェーデン)

ナカコー:デビューしたときにYouTubeでこの曲のビデオを見て、「いい曲書くな」って思ったのを覚えています。当時はAnimal Collective以降、わりとゴチャゴチャしたアメリカのバンドが多かった中で、彼らは凛とした感じがありました。ストレートなハーモニーとメロディーの強さが自分好みだし、印象的でしたね。

Koji Nakamura

3曲目:トッド・テリエ / Roxy Music - Love Is The Drug(Todd Terje Disco Dub)(ノルウェー)

ナカコー:一時期トッド・テリエをよく聴いてたんですけど、今回初めて「彼も北欧なんだ」って知りました。すごく気の利いたミックスですよね。派手にしていくんじゃなくて、本質的なちょっとした部分で盛り上げていく感じが好きです。彼の音楽はパッと聴きでは明るいですけど、根底に流れているのはディープなハウスとかミニマルで、そういった部分をRoxy Musicのミックスでオシャレに表現してるのがいいなって。

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プロジェクト情報

『Epitaph』

ストリーミング限定のプロジェクト。Koji Nakamuraの新作でありながら、収められる楽曲やバージョン、曲順などが随時変わっていくという。Spotify、Apple Music、LINE MUSICなどの音楽ストリーミングサービスでは4月26日からプレイリスト「地図にないルート」が先行で公開。第1弾として、『直木三十五賞』を受賞している作家の唯川恵が作詞を手掛けた楽曲“地図にないルート”と、バージョン違いとなる“地図にないルート feat. moekashiotsuka”、Madeggとのコラボレーション曲“Open Your Eyes 13 Mar. 2017”の3曲が配信されている。今後も随時更新予定。

プレイリスト

『ナカコーがオススメする北欧音楽10曲』

1. Bjork“Hyperballad”
2. The Royal Concept“Gimme Twice”
3. トッド・テリエ / Roxy Music“Love Is The Drug(Todd Terje Disco Dub)”
4. リッキ・リー“Dance Dance Dance”
5. Iceage“You're Blessed”
6. Amiina“Rugla”
7. The Cardigans“Carnival”
8. The Raveonettes“Love In A Trashcan”
9. ABBA“Dancing Queen”
10. Ace of Base“The Sign”

プロフィール

Koji Nakamura(こうじ なかむら)

通称ナカコー。1995年地元青森にてバンド「スーパーカー」を結成し2005年解散。ソロプロジェクト「iLL」や「Nyantora」を立ち上げる。その活動はあらゆる音楽ジャンルに精通する可能性を見せメロディーメーカーとして確固たる地位を確立し、CMや映画、アートの世界までに届くボーダレスなコラボレーションを展開。現在はフルカワミキ(ex.スーパーカー)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers, toddle)、そして牛尾憲輔(agraph)と共にバンド「LAMA」として活動の他、現代美術作家の三嶋章義(ex. ENLIGHTENMENT)を中心にしたプロジェクト、MECABIOtH(メカビオス)でも活動した。また、2014年4月には自身の集大成プロジェクトKoji Nakamuraを始動させ「Masterpeace」をリリース。

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「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。

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