高級ブランドの服に興味がない。「こうなっていたらいいな」って思うそのハードルも低かった
―コカドさんは愛着を持ったものはずっと使い続けたい気持ちが強いですよね。
コカド:言われてみればそうかもしれないですね。お笑いは高校1年生からやりはじめたし、好きなミュージシャンも10代の頃から変わらないし、着るものも一途に古着だし。車も一生乗り続けたいくらいの気持ちでいます。
―コカドさんが乗っているVOLVO 240 GL Limitedは、「ネオクラシック」と呼ばれる1990年代に製造されたものですが、どうしてこの車を選んだのでしょうか?
コカド:もともとヴィンテージの車がほしかったんですけど、「ちょっとでも傷がついてしまったら」と心配しながら乗りたくはなかったんです。気軽に使えるけどちょっと古いものがいいなと思いながら探していくなかで、辿り着いたのがこの車でした。角ばったシルエットがかわいらしいし、めちゃくちゃ頑丈なんですよ。ココリコの田中(直樹)さんが同じ車のワゴンタイプに10年以上、乗っているのですがまったく壊れていないと聞きますし、走行距離が20万kmを超えているものもざらにあるらしくて。
ぼくのも乗りはじめの1年くらいはワイパーの調子が悪いとかトラブルがありましたけど、いまは何の問題もなく乗っています。小回りも効くので、めちゃくちゃ乗りやすいです。
―そうやって長年変化しない価値観がある一方で、年齢を重ねるなかで変化してきたことはありますか?
コカド:考え方がどんどんシンプルになっているかもしれないですね。20代の頃はもっといろんなものに興味を持っていたし、買いたいものもたくさんあったけど、ある程度のことが30代で実現できたこともあって、40代になったいまは迷いみたいなものがなくなっている気がします。自分が好きなものがわかってきたのかもしれないですね。たとえば、古着じゃない服を着ていたことも一時期あって。でも、戻ってきちゃいましたからね。「やっぱそうなんや」みたいな。
―ちなみに、コカドさんは「こういう人になりたい!」というロールモデルのような人はいるのでしょうか?
コカド:お笑い芸人って2つのタイプがいると思っていて。仕事もプライベートも充実していて毎日楽しそうにしている人と、逆に充実していないことをネタにしている人。ぼくは楽しそうにしているほうに憧れるんですよ。たとえば、ピースの綾部(祐二)なんてすごく楽しそうやなって思います。言うなれば、お笑いの世界で成功していた人間なわけじゃないですか。にもかかわらず、それまでに築いてきたものを放り出してニューヨークに行っているわけで、その気持ちもうらやましいし、向こうで実際に生活していることもうらやましい。
―とはいえ、コカドさんを見ているとすごく充実しているように思えます。幸福度が高そうな印象です。
コカド:おそらくほしいものが手に入ったからだと思います。かつて「こうなっていたらいいな」って思っていたことが実現できているし、そのハードルも低かったから。高級ブランドの服が着たいとか、スポーツカーを乗り回したいとか、そういう憧れはなかったので。世の中がいいというものではなくて、「自分がかっこいいと思うもの」に囲まれて生活できているから、不満とかもあまりないんだと思います。
プロフィール
- コカドケンタロウ
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1978年生まれ、大阪府出身。中岡創一とお笑いコンビ「ロッチ」を結成。『キングオブコント』ファイナリストになるほか、『爆笑レッドシアター』などのネタ番組にも数多く出演。コントを中心とした単独ライブも定期的に開催。古着好きとしても有名で、趣味は古着やビンテージ家具の収集、サーフィン、サウナ、ドライブ、料理など。