野田クリスタルとハムスター。他者との暮らしで知った慈愛の精神

野田クリスタルとハムスター。他者との暮らしで知った慈愛の精神

2021/10/22
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:廣田達也 編集:川浦慧

変化した野田の生活。「匂いのする食べ物とかマジで食わなくなりました」

―はむはむちゃんと一緒に暮らし始めて、野田さんの生活も変化しましたか?

野田:山ほど変わりました。いま話したように温度や湿度の管理はもちろんですが、部屋の灯りが点けっぱなしだとハムスターは生活リズムが狂ってしまうので、毎日暗い時間を確保する必要があるんですよ。

それから匂い。ハムスターは小さいので、ちょっとしたことがストレスになると思って、匂いのする食べ物とかマジで食わなくなりました。煙とか出る料理なんて絶対にしないです。

―へえ!

野田:出来る限り、物音も立てないようにしています。生活音もストレスになってしまうので、足音をたてないようにしたり、冷蔵庫の開け閉めの音とか振動にも気をつけるようになりました。

―なんだか、ハムスターにとっては人間がいないほうがいいくらいですね(笑)。

野田:いや、ほんとそうなんですよ。最近はぼくも忙しくなって家を空けることが多くなりましたけど、ハムスターにとって、整えられた生活環境を与えられたうえに人間がいない状態はめちゃめちゃ快適なんです。ぼくは、いないに越したことはない。

―最初に「犬や猫はハードルが高い」とおっしゃいましたが、お話を聞いているとハムスターのほうがハードル高そうですね。

野田:そう思います。こんなに手がかかるとは思ってもみなかったんですよね。犬や猫を飼っている人の話を聞くとびっくりしますよ、「こんな雑に扱ってるのか」って。真夏の炎天下に、毛がモサモサの犬を散歩させているのとか信じられない。「お前、同じことされてみろ」と思いますね。ダウンジャケットを着込んで地面スレスレを歩いてみろって。

野田クリスタル

はむはむとの暮らしで知った、「相手の気持ちを想像すること」と「慈愛の精神」

―北欧には動物と共に生きる精神が日本より強くありますが、野田さんにとってはむはむちゃんとの生活に、「だれかと一緒に生きている」という感覚はありますか?

野田:めちゃめちゃありますよ。こういう感覚は、一人で生きてきた人にしかわからないんじゃないかな。いや、本当に不思議なんです。テレビを見てぼーっとして、ふと横を見たら「うわ、生き物がいる!」って思う(笑)。当たり前のことなのだけど、いまだに朝起きたり、帰宅したりすると、「いる!」と感じます。

―とくに一人暮らしが長いと、自分のペースやルールができてくると思うのですが、自分以外の誰かと生活することに窮屈さを感じたりはしませんか?

野田:それはないですね。「音を立てないように行動する」とか、「なるべく匂いのしないものを食べる」とかって誰かに強制されているわけではないじゃないですか。「これをやったらはむはむは嫌だろうな」と思って自発的にやっていることなので、逆にやらないことのほうがストレスを感じると思うんです。

―言葉でコミュニケーションがとれないぶん、相手の気持ちを想像しているんですね。

野田:そうなんです。はむはむと暮らし始めてから、いろんなことをすごく想像しますね。こういうことは嫌なんじゃないかとか、自分に置き換えて考えてみたり。

だから「相手に気を配る」みたいな意識は、以前よりも強くなったと思います。子どもを持つ親もそうだと思いますが、弱い存在、環境に左右される生き物がそばにいると、その「変化」に敏感になりますよね。どうしたら相手が快適か、嬉しいか、みたいなことは考えるようになった気がします。

それに、動物を見ているとやっぱり「野生」だなあって思いますね。ハムスターなんてなつかないどころか、ぼくのことすら認識していない。でも、それが悲しいとも虚しいとも思わなくて。「そりゃそうだよな」って思えている自分に驚くことはあります。これまでは、尻尾をふりふりしている犬の動画を見て「いいなあ」なんて羨ましがっていたけど、はむはむと暮らすようになってからは「この子がただ幸せであればそれでいい」と心から思えたときに「これが慈愛の精神か」って。

野田クリスタル
野田クリスタル

―たしかに、動物と暮らしていると「見返りを求めない気持ち」は芽生えるのかもしれません。人に対しても同じように思えるようになりました?

野田:人に対してはないですねえ(笑)。親になると、子どもに対してはそういう気持ちになるのかもしれないけど。

―はむはむちゃんの幸せを一番に考えつつも、やはりはむはむちゃんの顔を見たくなったり、遊びたくなることはありませんか?

野田:それはありますよ。無理やり抱っこするのはよくないですけど、顔を見たりするのはいいと思います。ぼくは最初のころ、トウモロコシの匂いを嗅がせて巣箱から顔を出させたりしていました(笑)。それもぜんぶ、相手を想像することですよね。ハムスターは素直なので、嫌なことはしないんです。

Page 2
前へ 次へ

施設情報

クリスタルジム

野田クリスタルがプロデュースするパーソナルジムが、10月24日(日)より「対面パーソナルトレーニング」を開始します。

プロフィール

野田クリスタル(のだ くりすたる)

1986年11月28日生まれ。お笑いコンビ・マヂカルラブリーのボケ担当。コンビとしては『M-1グランプリ2020』王者、個人としては『R-1ぐらんぷり2020』王者。ゲームクリエイターとしても活躍しており、2021年4月に発売した『スーパー野田ゲーPARTY』は8万本を超える売り上げを記録。

感想をお聞かせください

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
回答を選択してください

ご協力ありがとうございました。

Category カテゴリー

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。