(メイン画像:『アナザーラウンド』場面写真 ©2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.)
第93回アカデミー賞で、北欧の至宝マッツ・ミケルセンが主演したデンマーク映画『アナザーラウンド』が国際長編映画賞を受賞した。本作は、『偽りなき者』(2013年)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたトマス・ヴィンターベア監督と、同作でカンヌ国際映画祭の男優賞に輝いたマッツが再びタッグを組んで作り上げた期待の新作。
これまで、昨年の第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出され、先日のゴールデングローブ賞でも外国語映画賞にノミネート、ヨーロッパ映画賞では作品賞ほか4冠を果たし、第74回英国アカデミー賞では外国語作品賞を受賞するなど数々の映画賞を総なめにし、今回見事にオスカーを獲得した。
マッツ演じる冴えない高校教師とその同僚3人が、ノルウェー人哲学者の「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、仕事中でもお構いなしに酒を飲み常に酔った状態を保つというとんでもない実験に取り組むのだが、実験が進むにつれて制御不能になっていき……。奇想天外なストーリーでビターな面も描きつつ、ユーモラスな人生賛歌となっている。
トマス監督は、受賞のスピーチで「妻のヘレン、子どもたち、スタッフたち、投資家の方々、その他周りの人たちに感謝しています。キャストも全員素晴らしかった。特にマッツに感謝したい。映画のためだけでなく、娘のイダのために最高の演技をしてくれました」とマッツへ賛辞を贈り、「人生を祝福する映画を作りたかったんです。この映画の撮影4日目に娘が交通事故に巻き込まれて亡くなるという悲劇が起きました。本来彼女は本作に出演する予定で、とてもわくわくしていました。今も彼女がここにいて拍手してくれている気がします。イダ、奇跡が起きました、彼女も今この奇跡の一部に参加しているのです」と、亡くなった娘への想いを語った。
映画『アナザーラウンド』は9月3日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほかで全国公開。