岡崎体育が憧れるフィンランド。現地の島塚絵里と語る仕事・生活

岡崎体育が憧れるフィンランド。現地の島塚絵里と語る仕事・生活

インタビュー・テキスト
村上広大
編集:吉田真也(CINRA)

やっぱりぼくはミュージシャンなので、とにかく良い音楽をつくりたい(岡崎)

―フィンランドのアーティストやクリエイターにとっても、やはり自然はインスピレーションの源になっているのでしょうか?

島塚:そう思います。私自身、自然からインスピレーションを得ることも多いですから。数年前に東京で個展を開催したときも、テーマは「森」でインスタレーションに挑戦しましたし、昨年のクリスマスシーズンに行われたポップアップショップの飾りつけでは、「もみの木」のテキスタイルをテーブルクロスとして提供しました。

2020年のクリスマスシーズンに、フィンランドのギャラリーで行われたポップアップショップの様子

岡崎:良いですね。ぼくも、フィンランドで曲をつくる機会があれば、自然などの現地の要素からいろんなインスピレーションを得られそうだなと想像を膨らませていました。

島塚:自然から得られるインスピレーションがある反面、つねに刺激がほしいタイプのクリエイターにとっては、退屈な環境かもしれませんけどね。言い方を変えれば、フィンランドはエンターテイメントが少ないので、誘惑に邪魔されず、作業に没頭できる。ものづくりに集中したい人には、おすすめです。

岡崎:でしたら、ぼくにとって理想的な環境です。ちょうど最近、楽曲制作をする場所や環境についても、いろいろと思うところがあったので……。

島塚:なにがあったんですか?

岡崎:宇治に住んでいた頃と、東京にいる現在を比べると、曲づくりに対する心構えやマインドが大きく変わった気がするんですよ。

宇治の実家にいたときは、小さい頃から使っていた勉強机でずっと曲づくりをしていました。そのスタンスありきで、「宇治から、さいたまスーパーアリーナのワンマンを目指すこと」が目標になっていたり、「こんな作業環境でも関ジャニ∞さんに楽曲提供できた」という自信につながったりしていたんです。

宇治の実家に住んでいた当時、勉強机で楽曲制作をする様子

2019年にさいたまスーパーアリーナで行われたワンマンライブの映像作品より『トロッコにのって』

岡崎:テレビのレギュラー番組を持たせてもらうことになって、「これは東京にいたほうが便利そうだな」と思って引っ越してきたわけですが、宇治にいた頃のように「場所」自体がひとつのモチベーションになることはなくりました。

島塚:東京という立地にとらわれず活動することが、気概にもつながっていたと。

岡崎:はい。また、ありがたいことに、東京にいることで音楽だけじゃない仕事もいただく機会が増えていて。それ自体は嬉しいことですし、人間としての成長にもつながっていると実感しています。一方で、どうしても葛藤はあるんです。

やっぱりぼくはミュージシャンなので、とにかく良い音楽をつくりたいし、その気持ちを大事にしたい。もちろん、いまでも曲づくりに手を抜いているわけではないですし、つねに全力ですが、もっと集中できる場所で真摯に音楽と向き合う時間をとりたいなという気持ちが強くなっています。

島塚:なるほど。ものづくりをするときは、やっぱり集中できる環境で取り組みたいですよね。

岡崎:本当はすぐにでもフィンランドのような場所で曲づくりしてみたいのですが、コロナ禍だから難しくて……。だから、今度のアルバム制作では、東京から少し離れて森や湖の近くで作業したいと思っています。

宇治での生活が歌詞に反映されている楽曲『エクレア』。この動画は、バンド名義「ポテト探検隊」で演奏したライブバージョン

宇治に住んでいた頃に制作した楽曲『MUSIC VIDEO』

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プロフィール

岡崎体育
岡崎体育(おかざき たいいく)

1989年7月3日生まれ。京都府宇治市出身。2016年5月、アルバム『BASIN TECHNO』でメジャーデビュー。音楽活動に加えて、CM、映画、ドラマ出演などマルチに活躍中。私立恵比寿中学、関ジャニ∞などさまざまなアーティストに楽曲を提供。2019年6月には、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブを開催して成功を収める。2020年12月にはアニメ映画『劇場版ポケットモンスター ココ』の全テーマソングをプロデュースして話題に。2021年5月26日にコンセプトアルバム第2弾『OT WORKS II』をリリース予定。

島塚絵里
島塚絵里(しまつか えり)

ヘルシンキ在住のテキスタイルデザイナー。2007年にフィンランドへ移住し、アアルト大学でテキスタイルデザインを学ぶ。マリメッコ社のアートワークスタジオでデザイナーとして勤務したのち、2014年より独立。現在はマリメッコ、サムイ、キッピスなど国内外のブランドにデザインを提供している。Pikku Saari(コッカ社)というテキスタイルブランドをプロデュース。サントリー「オールフリー」のCMの衣装デザインを担当。2018年、宮古島にオープンしたHotel Locusのオリジナルテキスタイルをデザイン。2021年4月には、フィンランドでは初となる個展を開催予定。

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