小林聡美が語る、肩の力の抜き方。むきだしの自分でいる大切さ

小林聡美が語る、肩の力の抜き方。むきだしの自分でいる大切さ

インタビュー・テキスト
榎並紀行(やじろべえ)
編集:吉田真也(CINRA)

自然体を保つための意識とは? 「むきだしの自分」でいることの大切さ

―また、ほかにもエッセイのなかで綴られていた、「年齢を重ねるにつれ、『むきだしの自分』で生きることを意識するようになった」というエピソードも印象的でした。普段、テレビや映画に出ている自分は実際よりも魅力的に盛られているがゆえに、むきだしのままで外を出歩くことに抵抗がある。だからこそ、むきだしの自分でいられる場所を増やしていきたいと。

小林:つくられたイメージに応えようとしてばかりいると、どこかで居心地が悪くなったり、疲れたりしますからね。だから、自分を「盛らずにいられる」場所や仲間を持つことが大事だと思うんです。

外見だけじゃなく、性格もそう。必要以上に盛らない。疲れているときは「疲れている」、親切にできないときは「親切にできない」と言える居場所を増やせたら、自然体でいられる時間も多くなるはずですから。

ドラマ『ペンションメッツァ』の第6話「さすらう」より(画像提供:WOWOW)
ドラマ『ペンションメッツァ』の第6話「さすらう」より(画像提供:WOWOW)

―現在のコロナ禍では特に、周囲の情報や環境の変化に惑わされず、自分らしさを見失わないことが大事だと感じます。

小林:そうですよね。今は特に、自分に気持ちを向けてあげることが大切な気がします。自分の心がどんな状態なのか把握して、無理をしない。そして、周囲もそれを認めてあげる。そういう価値観が広がると、より過ごしやすくなりそうです。

それに実際、コロナの影響によって、そんな考え方がだんだん当たり前になっている気がします。たとえば、なにかお誘いを受けたときに「感染が心配だから、今回はやめておく」と言いやすくなりましたし、その意見を周りも尊重してくれる風潮になっているなと。お互いの意思を尊重することで、それぞれが自分らしく生きていける世の中になったら良いですね。

コロナ禍による制限があるなかで、いかに楽しく遊ぶかを考えたほうが良い

―世の中が閉塞感を抱えている今、憂鬱になったり、気分が落ち込んでしまったりする人が増えていると聞きます。小林さんは外出自粛でふさぎ込んでしまうようなことはありませんか?

小林:あまりないです。やっぱりニュースをあまり見ていないからかな(笑)。危険なことや気をつけるべきことさえ抑えておいて、あとはなるべく楽しい気持ちでいたいなと。いろいろ制限されているなかでも、いかに日々を楽しく過ごすか考えたほうが精神的に良いじゃないですか。

気分が沈んでしまっている人は、ニュースを見るのは1日1回だけにするとか、SNSを見る頻度も減らしてみるとか、意識的に情報と離れてみると良いのではないでしょうか。

その分、自分の時間と向き合って、なにかを楽しむ意識や機会を増やせたら、気分的にラクになれるのかなと私は思います。ライターさんや編集者さんのようにお仕事の都合上、情報を得なければならない人は難しいかもしれませんけど。

ドラマ『ペンションメッツァ』の第5話「むかしの男」より(画像提供:WOWOW)
ドラマ『ペンションメッツァ』の第5話「むかしの男」より(画像提供:WOWOW)

―たしかに、暇さえあればついついSNSを見てしまいますが、「休日はSNSをあまり見ないようにする」とかでも自分の時間と向き合う機会が増やせそうですね。小林さんにとって、今いちばん楽しいことはなんですか?

小林:俳句の会だったり、最近習い始めたピアノを家で練習したり、本を読んだりすることですね。あとは、それこそドラマや映画を見て、非日常を疑似体験するのも楽しいです。ということで、みなさん、ぜひ『ペンションメッツァ』を見てください(笑)。

―うまくまとまりましたね(笑)。最後に、あらためて『ペンションメッツァ』の見どころを教えてください。

小林:普段の忙しい生活とは違う、ゆるやかな時間の流れを感じていただきたいです。自然に寄り添うテンコさんの暮らしや客人とのやりとりに、ほっとしていただけると良いなと。そして、なによりたっぷりの自然に、みなさんが抱えている閉塞感が少しでも晴れたら嬉しいですね。

ドラマ『ペンションメッツァ』の第4話「ヤマビコの休日」より(画像提供:WOWOW)
ドラマ『ペンションメッツァ』の第4話「ヤマビコの休日」より(画像提供:WOWOW)
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番組情報

WOWOWオリジナルドラマ
『ペンションメッツァ』

WOWOWオンデマンドにて全話配信中。

脚本・監督:松本佳奈
音楽:渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)
出演:小林聡美
役所広司
石橋静河
ベンガル
板谷由夏
山中崇
光石研
三浦透子
もたいまさこ

プロフィール

小林聡美(こばやし さとみ)

1965年生まれ。東京都出身。1982年に出演した映画『転校生』で初主演を飾る。ドラマや映画などで女優として活躍する一方で、著書も多数出版。著書には『読まされ図書室』『散歩』『聡乃学習』などがある。映画の主な出演作は、『かもめ食堂』 『めがね』『ガマの油』『プール』『マザーウォーター』『東京オアシス』『紙の月』など。テレビドラマの主な出演作は、『やっぱり猫が好き』『すいか』『パンとスープとネコ日和』など。2021年1月15日からスタートしたWOWOWオリジナルドラマ『ペンションメッツァ』では、主人公のテンコ役として出演。

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