テロ組織拉致からの生還を描いた映画『ある人質 生還までの398日』が公開

398日間にわたってシリアで過激派組織IS(イスラム国)の人質となり、奇跡的に生還を果たしたデンマーク人写真家ダニエル・リューの過酷な実体験と、決して諦めなかった家族の奔走をスリリングかつ感動的に描き出した映画『ある人質 生還までの398日』が2月19日より公開される。

ジャーナリストのプク・ダムスゴーが周辺取材とともに書き上げたノンフィクション『ISの人質 13カ月の拘束、そして生還』(光文社新書刊)を原作に、ISの真実を人質視点で初めて内側から本格的に描いた映画としても注目され、デンマーク・アカデミー賞(ロバート賞)ではダニエルを演じたエスベン・スメドが主演男優賞を受賞したほか、助演女優賞、観客賞、脚色賞を受賞し話題となった。

俳優アナス・W・ベアテルセンとともに本作の監督を務めた『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年)で知られるデンマーク出身のニールス・アルデン・オプレヴ監督は「ダニエルの物語には、想像を絶する残忍さの瞬間が含まれています。しかしそれは、この物語が重大な意味を持つことの根拠のひとつにすぎません。第一に狂信と最悪の本能に乗っ取られた場合、人間はどのような行動に陥るのかを、私たちは決して忘れてはならないということ。第二に、アメリカのフリーランスの従軍記者、ジェームズ・フォーリーとの出会いの中で、ダニエルは人間が晒される最悪の状態を乗り越え、人道主義を守り通し、自分の置かれている状況にも関わらず、勇気を奮い起こし仲間を助けることができるようになるということ。第三に、ダニエルの運命が、彼の周りの人々の能力を最大限に引き出すということ。過激派の手中からダニエルを救うために必要とされる以上に力を尽くす家族と、サポートする人たち。私たちは彼らを英雄と呼ぶことができるでしょう」と作品への想いをインタビューで語っている。

今回解禁された映像では、瓦礫だらけの内戦の街でたくましく生きる人々の姿を暖かい表情でカメラに収めるダニエルが、突如現れた男たちに不当に拘束され、無理やり車へと押し込まれる緊迫のシーンが公開されている。ダニエルの地獄の人質生活が始まる瞬間を観客が目撃者のように体感する場面だ。

公開に先駆けて本作を鑑賞した白石和彌監督は「この映画は極限を描きながら命の重さに限りはないことを教えてくれる。決して他人事ではなく地続きな、いま観るべき映画だ」と絶賛。さらに自らもシリアで取材中に武装勢力に拘束され3年4ヶ月後に解放されたジャーナリストの安田純平さんは「救出されるか、されないか。捕まっている本人が分かる。その仕組みを描く稀有な映画。己の運命を覚った者たちの狼狽と自暴自棄、達観、そして崇高さに胸が締め付けられた」とコメントを残した。

拷問と飢えに苦しみ、恐怖と不安に苛まれる地獄の日々を彼はいかにして耐え抜いたのか。そして、ごく普通の生活を送っていた家族は彼を救出するためにどんな方法を実践したのか。混沌とした世界情勢のなかで、何が一番大切なのかを問いかける真実の物語をお見逃しなく。



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