子どもの質問、どう答える?天文学者・本間希樹×てぃ先生が語る

子どもの質問、どう答える?天文学者・本間希樹×てぃ先生が語る

インタビュー・テキスト・編集
飯嶋藍子
撮影:前田立

科学の担い手は当然人ですから、子どもたちの好奇心をどう応援してあげるかが大事。(本間)

―大人のサポートが重要なんですね。

てぃ先生:大人側の声がけによって自信を喪失したり、興味を失ってしまったりすることもありますしね。好奇心の広がりには当然、自信と知識欲が必要で。たとえば、宇宙の図鑑を見ている子がいたら、まずそれを邪魔しない。そうしているうちに、お子さんが宇宙についてそれなりに詳しくなって、「宇宙ってこうなんだよ」と自分の得た知識を大人にしゃべる。

その時に大人に「すごいね! よく知ってるね」と言われたら、やっぱり子どもって嬉しいんですよ。そこから、もっと大人を驚かせたい、もっと知りたいという欲求につながっていく。それって別に自分が宇宙について詳しいっていう自信を得てそうなっているわけじゃなくて、いろんなことを知っている自分を認められたという体験からつながっているものだと思うんです。

てぃ先生

―単に知識があるぞ、というよりその先にある自信が知識欲につながっているという。

てぃ先生:そうですね。たとえば、子どもを東大に入れた保護者の方とかって、みんな口を揃えて「幼少期の時にとことん好きなものに付き合ってた」って言うんですよ。ずーっと電車のおもちゃで遊んでる子がいたら、普通だったら「絵も描いたら?」「ブロックもしようよ」なんて、その子の興味を別のものに移そうとしちゃうんですけど、とことん電車好きに付き合う。

「のぞみは時速何キロなの?」「これはドクターイエローっていうの?」とか、好きなテーマでどんどん知識を深掘りしていくような機会を提供することによって、お子さんがもっといろんなことを知りたいとなっていく。それがものを知っていくという習慣づけになるんじゃないかなと思います。

本間:今のお話、非常に興味深いですね。てぃ先生がおっしゃったように、なにかにすごく興味を持って質問をする、答えてもらう、知識が満たされる、さらに次の質問が出てくる、というプロセスを繰り返していくと、結局僕みたいにそのまま仕事として科学者になる人も出てくるわけですよね。

本間希樹

てぃ先生:そうです、そうです。

本間:つまり、そのプロセスを途中で止めちゃうと「別に知らなくていいや」とか「興味ないや」となってしまう。科学の担い手は当然人ですから、人をどう育てるか考えた時に、保育士さんが携わっている2~5歳くらいの時期の子どもたちの好奇心をどう応援してあげるかは本当に大事ですね。

『子ども科学電話相談』は、好奇心がとんがってる子たちが集まっている。(本間)

―そういう意味では『子ども科学電話相談』は子どもの知識欲をブーストさせますよね。

てぃ先生:うん、絶対そうですね。

本間:あの番組は好奇心がとんがってる子たちが集まっているので、そりゃもうツワモノ揃いですね。僕だって子どもの頃から星が好きでしたけど、ラジオに電話するなんてハードルが高すぎて。だって知らないおじさんと電話でしゃべるなんてまず怖いじゃないですか(笑)。そんなのお構いなしに、相当な好奇心にかられてアクションを起こす、すごい力を持った子たちだと思います。

左から:本間希樹、てぃ先生

てぃ先生:やっぱりプロに触れることって大事なんじゃないですかね。だって、野球が好きな子が野球選手に会うと余計頑張ろうってなると思いますし、宇宙が好きな子が本間先生とおしゃべりするのも同じだと思います。

本間:そういうふうに思っていただければ僕も嬉しいです。僕が心がけているのは、プロって意外と大したことないんだなって思ってもらうことで。つまり自分も頑張ったら天文学者くらいにはなれるんだ、あるいはほかのことができるんだって思ってもらいたい。なにか好きなことを見つけて、そこを目指してほしいですからね。

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番組情報

NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』

毎週日曜10:05~

プロフィール

本間希樹(ほんま まれき)

国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長。1971年、テキサス州生まれ、横浜育ち。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。超高分解能電波観測による銀河系天文学、特に銀河系の構造研究と、巨大ブラックホールの研究を行っている。巨大ブラックホールに関するEHTプロジェクトに日本チームの責任者として参加。2019年4月には同プロジェクトチームによってブラックホールの撮影に成功した。

てぃ先生(てぃせんせい)

保育士。子どもの日常をつぶやいたTwitterが人気。著書に『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)、Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)、『きょう、ほいくえんでね…!!』(マガジンハウス)など。
現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。

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