M-1王者・霜降り明星がアップデートする、「第七世代」の定義

M-1王者・霜降り明星がアップデートする、「第七世代」の定義

インタビュー
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
中田光貴(CINRA.NET編集部)
撮影:鈴木渉 テキスト・編集:中田光貴(CINRA.NET編集部)
2019/12/18
  • 726
  • 14

粗品におんぶに抱っこのコンビだったら解散してたと思います。(せいや)

せいや:コンビ組んでから1、2年はプレッシャーというか、「なんでお前コンビ組んでんの?」みたいな空気を感じてましたね。自分の面白さも、友達と振る舞うみたいにはなかなか出せないんで。

―そう感じているせいやさんを見て、粗品さんはどう感じてましたか。

粗品:やめられたくないし、僕が見放すわけにはいかないので、自信を持って周りに紹介してましたね。「こいつ面白いんすよ!」って言いまくってました。それがまたせいやのプレッシャーになるんですけど。

粗品(そしな)

―そう言われているときの率直な気持ちっていかがでしたか?

せいや:マジで、やめてくれって思ってました。

粗品:(笑)。

せいや:こいつは良かれと思って言ってるんで、そのときに「ちょ、お前、ほんまやめてくれ」とは言えなかったです。こいつだけが仲良い先輩に会うたび、絶対「こいつ、面白いやつなんすよ」って紹介されるんですよ。でも最初の頃って、舞台もあんまりないし、もちろんテレビもないし、楽屋にも入れない。面白さを気付かせる術もなかったんですよね。だから「鳴り物入りで入ってきたけど、それにしては普通の大学生やな」みたい評価が常でしたね。

だから「なんで組んだん?」みたいなのは皆ずっと思ってたと思います。僕も思ってましたし。「俺なんで芸人なんやろ」ってずっと自問自答してました。今でもその気持ちはちっちゃくはあるんですけど、それが昔は100というか。自分の存在価値がないってずっと思わされてましたね。

―そこから徐々に活躍されるようになっていって、今は自分の武器や個性ってどういったところだと思っていますか?

せいや:モノマネは、粗品と組んでから自信になっていったかもしれないです。それが武器だと思えてようやくコンビっぽくなったと思います。粗品におんぶに抱っこのコンビだったら解散してたと思いますね。

霜降り明星

もっと若くして優勝して大スターになるって見積もりでした。(粗品)

―とはいえ、2013年にコンビを結成して2018年には『M-1』王者と、結成6年目で優勝を掴むというのは順風満帆な道を歩いてきたようにも見えてしまう部分はあると思うんです。実際のところ、コンビとしての歩みはどうだったのでしょうか。

粗品:苦しみは僕らなりにありました。目標ももうちょっと高く設定していたんです。22歳までに売れる、23歳で売れてなかったら引退って考えてました。

―なぜ22歳がリミットだったのでしょう?

粗品:大学卒業して、同級生がちゃんと働き出すのが23歳っていうタイミングなので。そこは僕らの節目でしたね。

―結成当初は20歳で伝説的な大スターになる予定だったという話も聞いたことがあるのですが、そういった未来を描いていた理由ってなんだったのでしょう。

粗品:2人とも若くて、自分たちが一番面白いと思ってたんで。もっと若くして優勝して大スターになるって見積もりでしたね。

―せいやさんも、コンビとしては20歳で大スターになると思っていましたか。

せいや:粗品は20歳のとき2、3年は1人でキャリア積んでいて、僕はそこからスタートなんで、そうは思わなかったです。でもこいつのとにかく尖って熱いプレゼンは、毎日聞かされてましたね。

僕は芸能界の知識ゼロだったので、粗品の教えてくれることがすべてというか。「3年目で売れてないコンビはクソや」とか、喫茶店でわーって説明受けて。とにかく熱かったですね。

そんな粗品に誘われたのはすごい嬉しかったけど、その熱に合わせるというのは、今考えたら最初は戸惑ってたかもしれないです。組んだときには、こいつはもう走り出しててかなり先にいたんで。その歩幅を僕に合わせるんじゃなくて、粗品の熱さに合わせていったから『M-1』も取れたのかなって思いますね。

せいや

―そうしてお2人で切磋琢磨して、最終にはせいやさんが舞台を大きく使って縦横無尽にボケていって、粗品さんがセンターマイクの前に立って端的にツッコんでいくというスタイルが確立されたと思うのですが、このスタイルが見えてきたのはいつ頃だったのでしょうか。

粗品:そうですね……組んで半年、1年ぐらいで、原型となっているものはできてたんですけど、やっぱり2014年の『THE MANZAI』で、このスタイルで認定漫才師(2011年~2014年に開催されていた賞レース『THE MANZAI』の本戦サーキットに出場できる50組の漫才師のこと)になったときに強烈な手応えは一発感じましたね。そのときも最年少でしたし、「スターになれるかも?」ってちょっと思ってはいました。

―外からの評価を得たときに手応えを感じられたと。

せいや:僕らの中では最初から面白いって思ってたんですけど、結果が出なければ手応えって感じないんで。ずっと悩みながらやってましたね。2015年に『M-1』3回戦で落ちて、ボケツッコミを入れ変えたりとか、今の動き回るスタイルの中でも毎年ちょっとずつマイナーチェンジしてきましたし。

だから、2017年に『ABCお笑いグランプリ』で優勝してやっと、「俺ら間違ってなかったんやな」って思えた感じです。それまではずっと、面白いのは間違いないと思ってるけど、なかなか認められないという暗闇にいましたね。

霜降り明星
Page 2
前へ 次へ

プロフィール

霜降り明星(しもふりみょうじょう)

粗品とせいやによって2013年1月に結成。2017年『第38回ABCお笑いグランプリ』優勝、2018年『第7回ytv漫才新人賞』優勝。同年、『M-1グランプリ』にて史上最年少、史上初の平成生まれで王者に輝く。粗品は2019年に『R-1ぐらんぷり』で優勝、せいやは2018年に『人志松本のすべらない話』でMVSを獲得するなど、それぞれピンでも活躍している。

Category カテゴリー

Latest Articles 最新の記事

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。