戸田真琴が肯定する「性」の自由 幸せなセックスのための考え方

戸田真琴が肯定する「性」の自由 幸せなセックスのための考え方

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戸田真琴
撮影、編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

人とセックスの付き合い方において、絶対的に正しい価値観などというものはない

日本の性教育は、とても保守的です。最低限の生物学的な知識と性的な身体の変化に対する対処法をやんわりとグロテスクでない表現で伝え、さらにはその授業は男女別で行われます。親御さんが自分たちの子供に伝えるとしても、それには家庭間の教育差があり、私のように偏って「男はみんなオオカミです!」と教えられてしまう子供もいれば、親御さん自身が性に奔放で、その価値観のまま教えられる子供もいるでしょう。それは、性について正しい知識を得ることや考えを深めることが、多くの場合保証されていない、と捉えることもできます。

それにもかかわらず、セックスをめぐる事象が人生に大きな影響を及ぼすことはとても多いです。早いうちに妊娠中絶を経験してしまう子や、セックスで自己肯定感を得ることに依存してしまう子、望まない性行為を経験してしまう子、なかには私のように未経験がコンプレックスになってしまうこともあります。そういった「自分の理想」や「世の中の普通」から逸れてしまったとき、それでも自分を肯定するためには、どうしたらいいのでしょう。

戸田真琴

本当は、人とセックスの付き合い方において、絶対的に正しい価値観などというものはないのだと思います。あるのは、関わる相手によって都度変わる「自分にとっての正しさ」と「他人にとっての正しさ」の境界線だけで、私たちはそれぞれ違う価値観を孕んでいる個々人として生きている限り、本当に向き合って追求することができるのは「自分にとっての正しさ」だけです。

運悪く、セックスを巡る価値観について、しっかりと考えを深めることが推奨されているとは言えない世の中を生きている私たちですが、やはり誰にも教えてもらえなかったものだからこそ、自分で自分のためのオリジナルの「正しさ」や「普通」を編み出してしまいさえすれば、いくぶんか生きやすくなるのではないかとも思うのです。

私専用の「正しさ」を見つけることで、もっと自由になれる

たとえば私なんか超平和です。お仕事として月に一度セックスをする機会はあるものの、それとプライベート……私の人生そのものに直接的に関わる時間は別のものとして考えていて、気持ちの伴うセックスについてはいまだに「家族になりたい人と行う、本来子供をなすための営み」という価値観をきちんと貫いています。

お仕事でのセックスは行為として楽しめるものの、本来の私の重た~いセックスに対する思い入れが本当の意味で反映されるのは、もっとプライベートな時間のなかでの出来事かもしれないな、と思っているのです。

戸田真琴
戸田真琴

これは端から見れば結構おかしな話で、AV女優をしている時点でビッチじゃん! と決めつけられることもあれば、セックスは全部セックスで、仕事もプライベートも関係ない。と捉える人もいるでしょう。なにが異常でなにが普通かはあまりに人によって違い、一般常識とたとえられるような、なんとなくの基準はあれど、その中身も細かく見ていくと人によってやっぱり微妙に異なったりするものです。

誰がなんと言おうと私は仕事で毎月セックスをするし、心はいまだに「結婚して子供を作りたいと思うような人としか絶対セックスはしないし、それ以前のお付き合いとかもしない!」と思っていたあの当時のまま生きているのです。とんちんかんに見えるかもしれませんが、これが自分で編み出してきた私専用のカスタム済みの「正しさ」で、本当は、正しさなんてものは人によってどこまでも自由であるべきなのです。

戸田真琴
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プロフィール

戸田真琴(とだ まこと)

2016年にSODクリエイトからデビュー。その後、趣味の映画鑑賞をベースにコラム等を執筆、現在はTV Bros.で『肯定のフィロソフィー』を連載中。ミスiD2018、スカパーアダルト放送大賞2019女優賞を受賞。愛称はまこりん。

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