『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』好きに捧ぐ北欧神話ガイド

『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』好きに捧ぐ北欧神話ガイド

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宇野維正
編集:木村直大、山元翔一

北欧神話に接続する、「北米神話」としての『マイティ・ソー』

昨年(2017年)11月に世界同時公開された『マイティ・ソー』シリーズ第3作、『マイティ・ソー バトルロイヤル』の原題は『Thor: Ragnarok』。北欧神話にあまり親しみのない日本の観客に「ラグナロク」という言葉がわかりにくいと判断されたのか、神々の最終決戦をイメージさせる「バトルロイヤル」というわかりやすい邦題がつけられた。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』のクライマックスで使用されたLed Zeppelinの“Immigrant Song”は北欧をモチーフにした楽曲として知られる

日本の「ソー」ファンの間では、北欧神話を蔑ろにしたその邦題を非難する声も少なくなかったが、その一方で、この「バトルロイヤル」というタイトルが「わかりやすくていい」と評価する記事をアップした北米のファンメディアもあった。どうやら、北欧神話ワードとしては一、二を争うほどポピュラーな用語である「ラグナロク」でさえ、(もちろん北欧の人々は別だろうが)海外でもそこまで一般的に広く認知されているというわけではないようだ。

それでも、『マイティ・ソー』シリーズ、及びその主要キャラクターであるソーやロキが活躍する『アベンジャーズ』シリーズの圧倒的な影響力、北欧神話への深い知見を反映させた人気ドラマ『アメリカン・ゴッズ』の登場、さらには、直接的に北欧神話をモチーフにした作品ではないものの日本を除く全世界的『ゲーム・オブ・スローンズ』ブームといった流れの中で、若い世代にも神話の世界に関心を持つ層が増えているのは間違いないだろう。

そもそも、「マイティ・ソー」というキャラクターを生み出したマーベルに限らず、DC(DCコミックス、マーベル・コミックと並ぶアメリカンコミックス出版社)の作品も含めたアメリカンコミックスの世界は、「北欧神話」ならぬ、アメリカ合衆国が生み出した現代の「北米神話」という側面がある。いわば『マイティ・ソー』は、その歴史の浅い「北米神話」を深遠なる「北欧神話」に繋げようとする試みでもあったのだ。

北欧神話は、現代のポップカルチャーを理解するための「必修科目」になる?

『マイティ・ソー』シリーズ、及び『アベンジャーズ』シリーズを追ってきてある時期までずっと引っかかっていたのは、何度ソーたちを裏切っても、何度捕まっても、何度死にかけても、そして時には地球全体を危機に陥れるきっかけ(『アベンジャーズ』第1作)となっても、シレッと主要キャラクターたちの横で不敵な笑みを浮かべ続けているロキの存在だ。

左から:ハルク、ソー、ヴァルキリー、ロキ / © 2017 MARVEL © 2018 MARVEL
左から:ハルク、ソー、ヴァルキリー、ロキ / © 2017 MARVEL © 2018 MARVEL

演じているトム・ヒドルストンとのキャラクターの相性の良さもあって、その一切悪びれることのない振る舞いはチャーミングであるが、「ストーリー上あまりにも都合良く使われてないか」という違和感を覚えるのは、筆者だけではないだろう。しかし北欧神話を少しかじってみると、そこでのロキの呆気にとられるしかないトリックスターぶりを知っていくにつれ、「まぁ、あのロキだから仕方ないよな……」という結論に至るのだ。

コミックや映画の『マイティ・ソー』シリーズにおいてロキはオーディンの養子、つまりソーの義弟という設定だが、北欧神話の一般的な解釈では、ロキはオーディンの義弟、つまりソーにとっては叔父にあたる。神話の中でのロキは自身の性別さえも自由自在に変えて、常に他人を騙したり陰謀に陥れたりしていく。

一方、オーディンの黄金の腕輪ドラウプニルや、ソーの武器であるムジョルニア(ミョルニル、トールハンマーとも呼ばれている)も、元はといえばロキがドヴェルグ(小人族)の兄弟、ブロックとエイトリをそそのかして作らせたもの(ムジョルニアの柄が妙に短いのも、蝿に化けたロキがブロックの作業の邪魔をしたせいだ)。それらもろもろをふまえると、『マイティ・ソー』シリーズにおけるロキの、物語全体の枠組を揺るがしかねない超越的な振る舞いにも納得してしまう。

左から:ソー、キャプテン・アメリカ / © 2017 MARVEL © 2018 MARVEL
左から:ソー、キャプテン・アメリカ / © 2017 MARVEL © 2018 MARVEL

このように、必ずしも細部が北欧神話に忠実というわけではないものの、『マイティ・ソー』の各キャラクター、各エピソードを楽しむ上で、北欧神話について少しでも知見があると一気に視界がクリアになることがある。いや、それだけでなく、「神々のいない世界」(=「ラグナロク」以降)に生きている我々にとって、もしかしたらそのうち北欧神話は、ますますその参照点を増していく映画やテレビドラマやゲームといったカルチャー全体をより深く理解する上での「必修科目」となっていくかもしれない。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』ジャケット / © 2018 MARVEL
『マイティ・ソー バトルロイヤル』ジャケット(公式サイトを見る) / © 2018 MARVEL

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作品情報

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

2018年4月27日(金)から全国公開

監督:アンソニー&ジョー・ルッソ
出演:
ロバート・ダウニーJr.
クリス・エヴァンス
ベネディクト・カンバーバッチ
トム・ホランド
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

リリース情報

『マイティ・ソー バトルロイヤル MovieNEX』
『マイティ・ソー バトルロイヤル MovieNEX』

2018年3月7日(水)発売
価格:4,320円(税込)

監督:タイカ・ワイティティ(監督、出演)
主演:クリス・ヘムズワース

『マイティ・ソー バトルロイヤル 4K UHD MovieNEX』

2018年3月7日(水)発売
価格:8,424円(税込)

監督:タイカ・ワイティティ(監督、出演)
主演:クリス・ヘムズワース

『マイティ・ソー バトルロイヤル 4K UHD MovieNEXプレミアムBOX』

2018年3月7日(水)発売
価格:15,120円(税込)

『ブラックパンサー MovieNEX』
『ブラックパンサー MovieNEX』

2018年7月4日(水)発売
価格:4,320円(税込)

監督:ライアン・クーグラー
主演:チャドウィック・ボーズマン

『ブラックパンサー 4K UHD MovieNEX』

2018年7月4日(水)発売
価格:8,424円(税込)

『ブラックパンサー 4K UHD MovieNEXプレミアムBOX(数量限定)』

2018年7月4日(水)発売
価格:15,120円(税込)
※2018年6月6日(水)先行デジタル配信開始

『アベンジャーズ & アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』ブルーレイセット
その他

『アベンジャーズ & アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』ブルーレイセット(6,000円+税)、DVDセット(4,000円+税)が5月31日までの期間限定出荷。『アイアンマン2』、『マイティ・ソー』、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』MovieNEXで新登場(各4,000円+税)。 ※上記以外のMovieNEXも、期間限定のオリジナル アウターケース付きで発売中(9月28日までの期間限定出荷)

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