起業家のためのフェス。Slushが提案するワクワクする働き方

起業家のためのフェス。Slushが提案するワクワクする働き方

インタビュー・テキスト
加藤将太
撮影:豊島望 編集:原里実、木村健太

みんなが混ざり合うことで、きっと世界は変わっていくはずですから。

—『Slush』を日本で展開するにあたり意識したことは何でしょうか?

アンティ:ぼくは大学生のときに、初めて来日しました。そのときはまだ日本語もうまく話せず、日本のことがわからなすぎて、ぼくにとっては宇宙と同じような場所でした(笑)。でも、日本の生活環境とか、教育、歴史、さまざまなことを知るにつれ、自分も日本に生まれていたら、日本人のように育っていたんだろうな、と心から思うようになったんです。つまり、基本的に人間の根本って一緒なんだな、と。

 

アンティ:「talkoo」を日本語で表したらどうなるんだろう? と気になって、一時期Googleで調べていたことがあるんです(笑)。そうしたら、「結(ゆい)」という考え方が近いと書かれているサイトを見つけました。小さな集落における相互扶助の考え方だそうですが、この言葉を普段の生活で聞いたことはありません。でも、「talkoo」のような考えを共有できていると感じる日本人は、『Slush Tokyo』のスタッフをはじめ、ぼくの身の回りにたくさんいます。きっと世界中、どこにでもある考え方なんだと思うんです。

だから『Slush Tokyo』に関しても、「フィンランドのコンセプトを持ち込む」という感覚はないんです。外国のいろんなイベントにもスタッフと一緒に行きますが、「あの点はぼくたちと違ったね」とか「ここをこうすればもっとよかったよね」などとディスカッションして影響を受けながらも、日本の環境に合ったやり方を自然に模索し、実践している気がします。

—日本の現状の課題などを分析して、戦略的に日本式に落とし込んでいる、というわけではないのですね。

アンティ:そうですね。ただ、日本独自の取り組みとして、『Slush Tokyo』では「Slush Cafe」というサブステージを設けています。そこは参加者が主役となり、登壇者とひたすら質疑応答をするステージ。通常のイベントでは登壇者と参加者の距離が遠く、参加者に質問を求めてもなかなか手が挙がらない。この環境をなんとかできればと、「Slush Cafe」をつくりました。

「Slush Cafe」
「Slush Cafe」

—「Slush Cafe」というかたちにすることで、気軽なコミュニケーション環境になるわけですね。

アンティ:質問者は自由に質問できますが、しかしそこには同時に責任も生まれます。2017年には日産自動車のカルロス・ゴーン会長に登壇いただいたのですが、そこではご自身のお子さんのことを話してくださるシーンもあったんです。日産の方曰く、ゴーンさんがプライベートな話をすることは滅多にないらしく、とてもリラックスしている状態だったそうで。こんなことが普通にあり得るコミュニティーであり続けたいなと思っています。

—素敵なエピソードですね。日本のスタートアップだからこそ感じる可能性やポテンシャルはありますか?

アンティ:日本では、いい意味でビジネスの相手を「お客様」として接しますよね。だから日本で営業ができれば、世界中で営業ができるとぼくは思っています。そして一番難しいお客さんでも、営業力次第で必ず取れる、だから日本企業が世界で戦うための鍵は、営業力を活かすことだと思います。英語の壁を越えて、そのスタイルで世界を相手にできれば、どこにでも勝てそうな気がします。

—3月28日、29日に、『Slush Tokyo 2018』が開催されます。今回のテーマである「Breaking Barriers(壁を壊す)」は、さまざまな壁やヒエラルキーを取り払って新しいことを始めようというメッセージですが、まさに今日語っていただいたことに共通していますね。

アンティ:去年のテーマは「Celebrating the Unknown(未知を祝う)」でした。未知の世界を受け入れてチャレンジしようという意味が含まれており、その次のステップとして、「壁を壊す」という今回のテーマを設けました。

国籍、性別、宗教、文化などで壁をつくり、自分と似ている人たちと固まるよりも、いろいろな人たちと接したほうが最終的にいろんな可能性が湧いてくるというメッセージなんです。みんなが混ざり合うことで、きっと世界は変わっていくはずですから。「同じ業界の人か」とか「同じ言語をしゃべるか」とか、そうしたことにとらわれず、いろんな人との出会いを楽しんでほしいです。

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プロフィール

アンティ・ソンニネン

フィンランド出身。2007年に東京大学への留学生として初来日。米スタンフォード大学でのインストラクター従事を経て、2012年から、「アングリ―バード」で知られるRovio Entertainmentの日本担当カントリーマネジャーを務める。2015年よりSlush TokyoのCEOを務める。

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