ナカコーインタビュー その審美眼で選ぶ、オススメの北欧音楽10曲

ナカコーインタビュー その審美眼で選ぶ、オススメの北欧音楽10曲

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:森山将人 編集:野村由芽、飯嶋藍子
2017/06/22
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4曲目:リッキ・リー / Dance Dance Dance(スウェーデン)

ナカコー:彼女のデビューアルバム(2008年、『Youth Novels』)はかなり新鮮でよかったです。すごくオリジナルな表現をしていたというか、サウンドの構造からして、「既存のものとは違うものを作ろう」ということを意識的にやっていたんだと思います。

それでいて派手にすることなく、ポップスとしても聴けるけど、深く入っていくアンビエントな音楽としても聴ける新しさがありました。一音一音をちゃんと聴かせるために無駄を排除して作られていて、すごくセンスがいいです。

ナカコーが用意した手書きの選曲リスト
ナカコーが用意した手書きの選曲リスト

5曲目:Iceage / You're Blessed(デンマーク)

ナカコー:彼らのことも、もともと北欧だとは思っていなかったんですけど、彼らのデビュータイミングくらいのアメリカでのライブ映像がすごく印象的で、「新しいことをやってやる」って感じました。僕は彼らのことをノイズ~アンビエント的な「現象」として聴いていたんです。

ライブスタイルもマスっぽくないというか、ラッピングされてなくて、すごくよかった。1980年代のハードコア、1990年代にNIRVANAがシアトルの小さいレコ屋でやる感じ、2000年代にLIGHTNING BOLTがフォートサンダー(LIGHTNING BOLTが仲間内で借りていたウェアハウス)でやる感じ、それを2010年代にYouTubeを使ってバンバン見せていくっていう、ある種象徴的な存在だったんじゃないかな。

6曲目:Amiina / Rugla(アイスランド)

ナカコー:僕Sigur Rosはあんまり通ってないんですけど(AmiinaのメンバーはSigur Rosのバックを務めている)、最初ジャケットを見て気になったんです。わりと音響的な感じで聴いていたんですけど、ライブの動画を見たら、それこそオモチャのようなものも含め、不思議な楽器を使っていて。

そういうスタイルからヨーロッパの北の方の人たちなんだろうなって思っていました。彼女たちみたいなスタイルでやっている人は他にもいたんですけど、サウンドをぼやかす方向に行きがちな中で、彼女たちの表現は手触りがくっきりしていたので面白かったです。

Koji Nakamura

7曲目:The Cardigans / Carnival(スウェーデン)

ナカコー:「北欧」っていうテーマで選ぶってなると、ビョークとThe Cardigansはすぐに浮かびました。なぜか自分が高校生くらいのときにすごく流行っていて。当時北欧的なものを押し出そうっていう働きかけがあったのかな、それは誰がやったんだろうって。とにかくこの曲がすごく流れていて、当時の少年・青年たちに「北欧」の雰囲気を刷り込ませたバンドだと思います。

8曲目:The Raveonettes / Love In A Trashcan(デンマーク)

ナカコー:露骨にThe Velvet Underground(デヴィッド・ボウイなどにも影響を与えたとされるアメリカのロックバンド。ロックの殿堂入りも果たしている)っぽかったり、The Jesus And Mary Chain(1984年に結成されたスコットランドのオルタナティブロックバンド)っぽいバンドはあんまり好きじゃないんですけど、この人たちは露骨を通り越して、パロディーに近かったので好きですね。

本人たちはそう思ってないだろうけど、聴いている側からすると、パロディーにも聴こえる。でも、そこまでのクオリティーにするのって大変なことなんですよね。もしThe Velvet Undergroundが現代にいて、「いまの素材を使ったら、こうなります」っていう、ひとつの回答例だと思う。そこが非常に面白いです。デンマークとかノルウェーの1980年代のカセットカルチャー、ミニマルウェイブとかコールドウェイブから影響を受けているのかもしれないですね。

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プロジェクト情報

『Epitaph』

ストリーミング限定のプロジェクト。Koji Nakamuraの新作でありながら、収められる楽曲やバージョン、曲順などが随時変わっていくという。Spotify、Apple Music、LINE MUSICなどの音楽ストリーミングサービスでは4月26日からプレイリスト「地図にないルート」が先行で公開。第1弾として、『直木三十五賞』を受賞している作家の唯川恵が作詞を手掛けた楽曲“地図にないルート”と、バージョン違いとなる“地図にないルート feat. moekashiotsuka”、Madeggとのコラボレーション曲“Open Your Eyes 13 Mar. 2017”の3曲が配信されている。今後も随時更新予定。

プレイリスト

『ナカコーがオススメする北欧音楽10曲』

1. Bjork“Hyperballad”
2. The Royal Concept“Gimme Twice”
3. トッド・テリエ / Roxy Music“Love Is The Drug(Todd Terje Disco Dub)”
4. リッキ・リー“Dance Dance Dance”
5. Iceage“You're Blessed”
6. Amiina“Rugla”
7. The Cardigans“Carnival”
8. The Raveonettes“Love In A Trashcan”
9. ABBA“Dancing Queen”
10. Ace of Base“The Sign”

プロフィール

Koji Nakamura(こうじ なかむら)

通称ナカコー。1995年地元青森にてバンド「スーパーカー」を結成し2005年解散。ソロプロジェクト「iLL」や「Nyantora」を立ち上げる。その活動はあらゆる音楽ジャンルに精通する可能性を見せメロディーメーカーとして確固たる地位を確立し、CMや映画、アートの世界までに届くボーダレスなコラボレーションを展開。現在はフルカワミキ(ex.スーパーカー)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers, toddle)、そして牛尾憲輔(agraph)と共にバンド「LAMA」として活動の他、現代美術作家の三嶋章義(ex. ENLIGHTENMENT)を中心にしたプロジェクト、MECABIOtH(メカビオス)でも活動した。また、2014年4月には自身の集大成プロジェクトKoji Nakamuraを始動させ「Masterpeace」をリリース。

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