福祉業界に投入した「ファッション」という起爆剤。平林景が語る

福祉業界に投入した「ファッション」という起爆剤。平林景が語る

2021/09/28
インタビュー・テキスト
飯嶋藍子
写真提供:JPFA 編集:飯嶋藍子、CINRA.NET編集部

ファッション×福祉で実現した、誰でもアクセスできる新しいボトム「bottom'all」

―明るくてオシャレな場所って誰もが通いたくなりますよね。お話しいただいたその思いが、JPFAの立ち上げにも通じているのでしょうか?

平林:そうですね。JPFAを始めたきっかけとして大きかったのは、実際に車椅子に乗っている方に「オシャレは諦めた」と言われたこと。オシャレって自由だし、誰に気兼ねするものでもないはずなのに、「諦めた」っていう言葉を聞いて、「え? おかしくないですか? 諦める必要なんて全然ないじゃないですか?」って言ったんですよ。

でも、詳しく聞いてみると、車椅子に乗っていると試着室に入れなかったり、そもそも自分一人じゃ着られない服があったり、誰かの手を煩わせることになるから心苦しいんだと言うんです。その話を聞いて、だったら障がいの有無に関係なく全員がアクセスできて、オシャレを楽しめる服やモノを社会に生み出せば、車椅子の方が感じているファッションに対する問題や楽しむことへの気持ちなどが丸ごと解決するのかなと思い、「bottom'all(ボトモール)」という巻きスカートが生まれました。

平林景

―平林さんも「bottom'all」を着用したコーディネートを毎日ツイートしていますよね。

平林:そうそう。最初はネーミングにとても苦労して。やっぱり「巻きスカート」というと男性はちょっと抵抗感を示すんじゃないかという懸念がありました。なので、みんなに受け入れてもらいやすい且つ、新しいジャンルのはき物として認知してもらえる名前があったらいいなと思い、誰もが楽しんで着用できるボトムという意味で、「bottom'all」と名づけたんです。

平林:そこから、車椅子に乗っている方と意見を交換しながら製作していきました。それがいちばん早いし、当事者の声を直接聞くことで答えが見えてくる部分も多くて。たとえば、従来のジャケットを着て車椅子に乗っているとうしろがくしゃくしゃになってしまうという話を聞いて、車椅子に引っかからないような丈の短いジャケットをつくったりもしています。

―逆に言うと市販されている服って、本当に歩く・立つということが前提になっているんですね。平林さんの服を見るまでは、車椅子の方にとってはこの服は裾が長すぎるんだとか、このかたちのボトムははけないんだとか、気づきもしませんでした。

平林:やっぱり気づかない方のほうが多いと思いますよ。ぼくはたまたま身近に車椅子の方がいたことが大きいです。オシャレな施設をつくりたいだとか、福祉のうえでの「オシャレ」については随分前からSNSなどで発信していたのですが、車椅子の人の服事情に気づいてから、福祉とファッションということをより意識するようになりました。

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プロフィール

平林景(ひらばやし けい)

一般社団法人日本障がい者ファッション協会(JPFA)代表理事。1977年生まれ、大阪府出身。美容師、美容専門学校の教員を経て、放課後等デイサービスを設立し、独立開業。「『福祉×オシャレ』で世の中を変える」をモットーに、X-styleファッションブランド「bottom'all」とその同名ボトムを展開。2022年秋のパリコレへの出展に向け挑戦中。

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