戸田真琴が綴る自由な愛の姿 「関係性の呪縛」にとらわれる人へ

戸田真琴が綴る自由な愛の姿 「関係性の呪縛」にとらわれる人へ

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戸田真琴
撮影・編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

他人の愛を「普通じゃない」とジャッジできるのは、その相手を深く知らないから

複数の人と性愛関係を結ぶことは批判されがちな世の中ですが、当人にとってその生活スタイルがしっくりきているのなら、本当の意味ではそれ自体を糾弾する権利は誰にもないのかもしれません。個人的に傷つけられたりする場合は話が変わってくるかもしれませんが、誰もが自分の「普通の生活」をしていて、それが他の誰かにとっては異常なことなのかもしれないのだということを念頭に置いてみると、世界の見え方がまた変わってくるかもしれません。

他人の愛を「普通じゃない」とジャッジできるとしたら、それはその相手を深く知らないからなのだと思います。もしも自分の抱く愛について、普通じゃないのではないかと感じることがあったなら、そのときには一旦その感情に名前を付けることを諦めてみてほしいのです。愛というものは、社会がシステムの都合上定義したものよりも、雑誌やテレビで取り沙汰されてるものよりも、本当はずっと自由なものなのかもしれません。

戸田真琴

「恋愛関係を解消したらもっと相手のことが大事になった」という友人の話を聞いたとき、私は、それはもしかしたら恋愛しつづけるよりも素敵なことなのかもしれないな、と思いました。友情も恋愛感情も、熱したり冷めたり、ちょうどぴったりとはまる季節とずれてしまう季節がそれぞれあったりするもので、本当に形を変えない愛などそうそうあるものではないのかもしれません。

それでも、愛は進化していくことができます。

どんな名前の付いた関係性にも実のところ優劣はなく、そして名前の付かないものを含んでずっとゆっくりと色や形を変えていくのだとしたら、それは何て素敵なことなのでしょうか。

分かりやすい名前がなくとも、他人に対して、「この人は私の人生の登場人物のひとりだ」と感じることがあります。たった1行しか出てこなくても深い深い愛を宿している場合もあるし、たくさん書かれたのちプツリと登場しなくなるとしても、そのページがなくなったわけではありません。人物紹介の欄では分からない、その人の出てくるページすべてを読まないと理解できない関係性もあります。そういうページが何枚も何枚も重なって今の自分があるのだということを、とても遥かなものを見るような思いで理解するとき、私たちは愛について自由であるべきなのかもしれない、と感じます。

現行の社会制度など具体的な不自由は多々ありますが、それは、私たちの心までを本当に縛る理由にはなりません。自分の人生の登場人物たちを、名前の付かない愛で愛することができたら、その先には、もっとふくよかな未来があるかもしれないと感じているのです。

戸田真琴
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配信情報

『Podcast 戸田真琴と飯田エリカの保健室』

毎週月曜日20時に、Apple Podcast、Spotify他で配信中

書籍情報

『人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても』
『人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても』

2020年3月23日(月)発売
著者:戸田真琴
価格:1,650円(税込)
発行:KADOKAWA

『あなたの孤独は美しい』
『あなたの孤独は美しい』

2019年12月12日(木)発売
著者:戸田真琴
価格:1,650円(税込)
発行:竹書房

プロフィール

戸田真琴(とだ まこと)

2016年にSODクリエイトからデビュー。その後、趣味の映画鑑賞をベースにコラム等を執筆、現在はTV Bros.で『肯定のフィロソフィー』を連載中。ミスiD2018、スカパーアダルト放送大賞2019女優賞を受賞。愛称はまこりん。初のエッセイ『あなたの孤独は美しい』を2019年12月に、2020年3月には2冊目の書籍『人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても』を発売した。

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