暴力を捨てたC.O.S.A.は、ラッパーとして言葉で人を動かす

暴力を捨てたC.O.S.A.は、ラッパーとして言葉で人を動かす

インタビュー・テキスト・編集
久野剛士(CINRA.NET編集部)
撮影:西田香織
2020/01/09
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ヒップホップは、人を動かすことができる音楽なんです。

C.O.S.A.

―それに気付いて、なにが変わりましたか?

C.O.S.A.:おとなしくなりましたね。それ以降、当然なんですけど、人に無理やりいうことを聞かせるようなことをしなくなりました。

―それで、友達はできたんですか。

C.O.S.A.:それ以降も友達が増えたかというとそういうわけでもないんですよ。それでも遊んでくれていた地元の友達や名古屋の友達とは、いまでも付き合いがありますけどね。俺が落ち着いたので、そのとき離れていった人たちの中には同窓会で会って普通に話してくれたり、連絡くれたりする人はいますけど、当時は友達になってくれるわけではなかった。それが正しいと思っていたわけではありませんが、本当に悪いことだと理解できていなかったんです。

C.O.S.A.
C.O.S.A.

―いまのC.O.S.A.さんは、どう人と接しているんですか。

C.O.S.A.:いい意味でも悪い意味でも、人に対して怒ることがなくなりましたね。なにか思うことがあっても、いわなくなりましたし、人に干渉することもあまりないです。

―干渉することで、相手を傷つけるかもしれないからでしょうか?

C.O.S.A.:それも確かにあります。いまでも対応の仕方がイマイチわかってないんですよ。俺はよかれと思ってアドバイスをしてあげても、それが相手にとってうれしいとは限らない場合も多いじゃないですか。だから、あまり干渉しないようにしてますね。

―C.O.S.A.さんのラップで、<俺は無慈悲なヤツ 愛はあるけど情がないのさ>というリリックがありますね。

C.O.S.A.:それは、いま結婚している相手に実際にいわれた言葉で。俺もそれをいわれてすぐに腑に落ちたんです。

とても落ち込んでいたり、悩んでいたり、困っていたりする友達がいれば、もちろん1度は助けようとします。でも、結局、自分自身が動かなければ、なにごとも変わりません。俺から見て、その状況を改善するために動いていないと感じれば、それ以上は干渉しない。最後は、自分でがんばるしかないんですよね。

<俺は無慈悲なヤツ 愛はあるけど情がないのさ>というリリックが印象的な “1AM in Asahikawa”収録のC.O.S.A.『Girl Queen』を聴く(2018年 / Spotifyを開く

―C.O.S.A.さん自身は、自分で動いてきたわけですからね。ラップをはじめようと思ったきっかけはなんだったのでしょう?

C.O.S.A.:ラップを好きになったのは小学校6年生のときなんですけど、もうそのときからずっとリリックを書いていますよ。ただライブはしていなかった。ライブをしたのは高校1年のときが初めてです。それで、名古屋に行くことが多くなりました。

 

―それからこれまで、ステージに立っているんですね。ヒップホップの、どんなところに惹かれているのでしょう?

C.O.S.A.:人を動かせるところですね。

―暴力ではなく、音楽や言葉によって人を動かすことができる……。

C.O.S.A.:ケンドリック・ラマーのアルバムとかを聴くと、多くの人は食らってしまうと思うんですよ。もちろん革新的な音楽性だけでもテンションは上がりますし、あのレベルのものを聴くと、リリックを読んだときに俺も食らってしまう。糧になるというわけではないんですけど、自分の中で大事にしているものを改めて確認できます。

たとえば、“u”という曲がありますが、その曲のリリックは、「音楽が売れて身近な人を助けられると思っていたけど、それはまやかしで、自分の妹が精神的に弱っているのに助けることができない」と苦悩する内容で。それを聞いたときに、彼のレベルでもそう感じるんだなと思いました。規模は小さくなるけど、似たようなことを感じることはあるので。

ケンドリック・ラマー“u”を聴く(2015年 / Spotifyを開く

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プロフィール

C.O.S.A.(こさ)

1987年生まれ、愛知県知立市出身のヒップホップMC。キャデラックのローライダーに乗っていた6歳上の姉の影響で深くヒップホップにのめり込み、12歳の時にリリックを書き始めて、16歳からラッパーとしての活動を開始。同時にビートも手掛ける。その後、ビートメイカーとしての活動を経て、2013年よりラッパーとして再始動。精力的に楽曲制作とライブを行なう。2015年、自身初となるラップアルバム『Chiryu-Yonkers EP』を発表。2016年のKID FRESINOとのコラボレーション作『Somewhere』を経て、2017年にミニアルバム『Girl Queen』を発表。2019年にはシングル『Death Real』をリリースした。

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