無印良品「Found MUJI」で知る、シンプル&合理的な北欧暮らし

無印良品「Found MUJI」が伝える、北欧のクラフトマンシップ

伝統と現代性が共存する北欧のもの作りの世界。そこに息づいているのは、いくら時代が移り変わろうとも決して失われることのない、頑固なまでのクラフトマンシップだ。

世界各地の日用品をリサーチし、改良を加えながら日本へと紹介する無印良品のプロジェクト「Found MUJI」では、これまでにフィンランドやスウェーデンといった北欧諸国のもの作りにフォーカスをあて、その奥深い魅力とそれを支えるクラフトマンシップを伝えてきた。

フィンランドの首都・ヘルシンキのマーケットで使われていたかご / 企画展「Suomi Finland」より

「Found MUJI」を通して見えてくるのは、もの作りに対する職人たちの思いと、それを育んできた風土や土地の歴史だ。日用品を日本のマーケットへと紹介するだけでなく、その背景に広がるものも丹念にリサーチし、風土と暮らしを伝えること。そうした活動からは、ある種の民俗学的視点も見え隠れする。そんな「Found MUJI」について、無印良品の担当者に話を聞いた。

合理的に、暮らしを楽しむ北欧。だからこそ、世界中から愛される。

「Found MUJI」の活動がスタートしたのは2003年のこと。リサーチの対象となったのは、中国やインドなどアジア諸国、ドイツ、リトアニアなどヨーロッパ、インド洋のマダガスカル、さらには日本各地まで全世界におよぶ。

「Found MUJI」#267 水の平焼「南のもの」
「Found MUJI」#252 マダガスカル「世界のかご」

そこで見い出された日用品は改良を加えられ、青山の店舗「Found MUJI 青山」を始めとした国内12店舗、海外の8か国14店舗で販売された。これまで取り上げられた特集は、現在までに300近く。無印良品の担当者は「Found MUJI」の活動をこう説明する。

無印良品:無印良品はもともと「ものを作る」というより、「探す・見つけ出す」という姿勢で生活を見つめてきました。廃れることなく長く活かされてきた日用品を世界中から探し出し、生活や文化、習慣の変化に合わせて少しだけ改良し、適正な価格で再生してきました。

2003年からはこの活動を「Found MUJI(見い出されたMUJI)」と名付け、さらに世界の細部にまで入り込みながらよいものを探す旅を始めました。

北欧諸国からは、2018年夏にフィンランドが、2015年末から2016年初頭にかけてはスウェーデンがテーマに選ばれた。「Found MUJI」の担当者は、ガラス工房や100年以上の歴史を持つ機織工房、煉瓦造りのリネン工場といったもの作りの現場に足を運ぶだけでなく、その国の一般家庭にも宿泊。寝食を共にすることで、人々の暮らしにも触れたという。

さまざまなものが作られる現場・使われる現場を回りながら、「Found MUJI」はシンプルかつ高い機能性を持つことで知られる北欧の日用品の背景にあるものを炙り出していく。

手作業で金物を作る工場での様子 / 「Suomi Finland」
フィンランドの伝統料理・カレリアパイ作り / 「Suomi Filand」

無印良品:もの作りの現場を訪れることと、現地の人々と生活をともにすること、どちらのリサーチでも「生活者のためのもの作り」をしていると強く感じました。たとえば、器ひとつにしても、単純な形状で扱いしやすく、かつスペースを取らないようにデザインされている。そこにはまず最低限必要なものから揃え、あとから生活の変化に合わせて買い足すことができるように、という思いが込められているんですね。

北欧の人々は、合理的で暮らしを楽しむことに長けていると感じます。その考え方が生活の道具にも反映されており、ゆえに世界の多くの人々に使われているのではないでしょうか。

フィンランドの伝統的なサウナ「スモークサウナ」/ 企画展「Suomi Finland」より

温もりのある「その土地らしさ」を、誰しもが感じられるように

「Found MUJI」の特色は、各地で見つけ出してきた日用品に、日本の暮らしに合わせていくらか改良を加えることがあるという点だ。ただし、そうした改良とはあくまでも日本の品質基準をクリアするためのもの。それぞれの魅力を損なわないよう、改良にあたっては細心の注意が払われているという。

無印良品:すべてにおいて言えることですが、もともとのものと似て非なる物になってしまうと、それは「その土地らしいもの」ではなくなってしまいます。現代の暮らしのなかでは大きすぎることからコンパクトなサイズに改良するなど、あくまでも普段の生活で日常的に使えるよう整える程度の改良にとどめています。

フィンランドとスウェーデンは森林と湖が国土の多くを占める一方で、世界的に見ても稀な人口密度の低さを誇る。そのため、人々は常に自然と共生し、その恵みを享受しながら日々の生活を送ってきた。夏になると野山に実ったベリーを摘んでデザートとして味わい、冬も楽しめるよう冷凍保存したりジャムとして保管する。その際に使用される保存容器は、季節をまたいで山の味覚を楽しむためのタイムカプセルのようなものだ。

左がコケモモのジャム、右がクラウドベリーのジャム / 企画展「Suomi Finland」より
ベリーのジャムを添えて食べるお粥「Puuro(プーロ)」 / 企画展「Suomi Finland」より

単に利便性を追求したものではなく、生活のリズムにそっと寄り添うもの。たとえ何気ない日用品であっても、そこにはそれぞれの土地の風土がしっかりと息づいている。「Found MUJI」が見つめてきたのは、そうしたもの作りの原点だ。

シンプルなデザインのなかにも、その土地の匂いや人々の体温のようなものが感じられる北欧の日用品。そうした温もりを生活のなかに取り入れることで、いつもの日常がより色鮮やかなものになるはずだ。

イベント情報
『Found MUJI 東京』

2019年2月22日(金)~2019年4月25日(木)
会場:渋谷西武、Found MUJI 青山

2019年3月8日(金)~2019年5月9日(木)
会場:その他店舗(シエスタハコダテ/渋谷西武/丸井吉祥寺/テラスモール湘南/名鉄名古屋/イオンモール京都/京都BAL/グランフロント大阪/神戸BAL/広島パルコ/MUJIキャナルシティ博多)



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「幸福度が高い」と言われる北欧の国々。その文化の土台にあるのが「クラフトマンシップ」と「最先端」です。

湖や森に囲まれた、豊かな自然と共生する考え方。長い冬を楽しく過ごすための、手仕事の工夫。

かと思えば、ITをはじめとした最先端の技術開発や福祉の充実をめざした、先進的な発想。

カルチャーマガジン「Fika(フィーカ)」は、北欧からこれからの幸せな社会のヒントを見つけていきます。

スウェーデンの人々が大切にしてい「Fika」というコーヒーブレイクの時間のようにリラックスしながら、さまざまなアイデアが生まれる場所をめざします。

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