落合陽一講演。既存システム脱却が、ダイバーシティの真価を生む

落合陽一講演。既存システム脱却が、ダイバーシティの真価を生む

テキスト
村上広大
撮影:朝山啓司 編集:木村健太
2018/06/18
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中央集権型から地方分権型へ。落合陽一が提唱する新たな日本のグランドデザイン

近年、さまざまなテクノロジーが発展している。それによって起こるパラダイムシフトにより、人々の生活は大きく変化していくだろう。近い将来、車を運転する必要はなくなるかもしれないし、機械の外骨格をつければ体の不自由を意識しなくてもよくなるかもしれない。また、仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーンがさらに発展して、トークンエコノミー(代替貨幣によって生み出される経済)が普及すれば、お金の概念が変わるかもしれない。

また、これからの世界は、VRや空間ホログラムなどの技術発展によって、自然物と人工物の垣根がどんどんなくなっていく。落合はこの状態のことを「デジタルネイチャー(計算機自然)」と呼び、ロボットと人間、CGと実物などが融合していくと説明する。そのなかで、眼鏡をかけることがファッションの一要素となったように、身体の障碍(障害)とされているものがテクノロジーの力によって障碍ではなくなっていく。「健常」という概念がなくなることで、あらゆるところで多様化が生まれ、ダイバーシティ化が加速していくという。

落合陽一

落合:これまでの日本の社会は中央集権型を採用していました。太い幹があり、そこから枝葉に分かれていくような。しかし、多様化が進んだ社会では地方分権型のほうがうまくいくはずです。そうした未来をどのように構築していくか。そのための方法を考えていきたいと思っています。

ダイバーシティ化に対応するための日本のあるべき姿、その姿を実現するまでの課題を最後にスピーチし、約25分の講演は終了した。

日本とスウェーデンの両国のさらなる発展のために。落合陽一が投げかけたもの

今回の基調講演で語られたことは、彼が提唱する「日本再興戦略」のなかの極一部でしかない。だが、それでも何かを感じた人は多かったに違いない。

特に、スウェーデンはダイバーシティ化が大きく進んでいる国だ。人種や宗教、政治に関することはもちろんだが、2009年には同性婚も合法化され、差別禁止法も導入されている。とにかく多様性に寛容な社会といえる。

また、世界有数のイノベーション国家としても知られており、そのランキングはつねに上位にある。しかし、今から100年ほど前、スウェーデンはヨーロッパでも最も貧しい国のひとつだったという。新しいアイデアやトレンド、テクノロジーなどを積極的に受け入れてきたことが、現在の発展につながっているのだ。その結果、IKEA、VOLVO、H&Mなどのようなグローバルカンパニーを生み、「Spotify」や「Minecraft」などの話題のグローバルブランドが生まれた。

国際社会にいち早く対応したスウェーデンの姿には、日本のこれからの発展に役立つヒントになる面も多いだろう。日本にとっては、ダイバーシティを受け入れ、その多様さにシナジーを生み出すような仕組みづくりを考えていくことが、重要なのではないだろうか。

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イベント情報

『日本・スウェーデン外交関係樹立150周年 祝賀イベント』

1868年に日本とスウェーデンが初めて外交関係樹立を結んでから、2018年で150周年。政治、経済、学術、文化など、さまざまな分野で緊密な関係を築いてきた両国の外交関係節目の年を記念して、1年を通して多くの祝賀事業が開催される。その一環として開催された『日本・スウェーデン ビジネスサミット』では、カール16世グスタフ国王のほか、スウェーデン企業75社を含む両国の企業関係者、政府関係者など約230人が出席した。

プロフィール

落合陽一(おちあい よういち)

1987年生まれ。メディアアーティスト。筑波大学でメディア芸術を学び,東京大学で学際情報学の博士号を取得。2015年より筑波大学助教。映像を超えたマルチメディアの可能性に興味を持ち、デジタルネイチャーと呼ぶビジョンに向けて研究に従事。情報処理推進機構よりスーパークリエータ / 天才プログラマー認定に認定。2015年、世界的なメディアアート賞であるアルスエレクトロニカ賞受賞など、 国内外で受賞歴多数。主な著書に『魔法の世紀』(PLANETS)、『超AI時代の生存戦略』(大和書房)。国内外を問わず雑誌・テレビ・ラジオなどメディア露出も多いほか、国内外の大学やTEDxTokyoなどシンポジウムでの講演も行っている。

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