あっこゴリラのお悩み相談室 人生、恋愛、迷える人へ全力エール

昨年、アルバム『GRRRLISM』でメジャーデビューを果たしたラッパー、あっこゴリラ。自身が抱えていた「女性としての生きづらさ」からの解放を求め、04 Limited SazabysのGENやTempalayらとともにさまざまな試行錯誤を繰り返しながら作り上げた本作は、女性のみならず「ありのまま、自分らしく生きることの難しさ」に悩む多くの人々に深く突き刺さる内容に仕上がっている。

前回のインタビュー(あっこゴリラが語る「自分嫌い」だった頃 劣等感とどう向き合う?)でも、自身が感銘を受けたという映画『グッド・ヴァイブレーションズ』(8月3日公開予定)や、「自分らしく生きる」をテーマに、これまでの歩み、心の内を語ってもらった。

作品を作りながら、自らをアップデートしていくあっこゴリラ。そんな彼女の姿に魅了され、憧れを抱く人は後を絶たない。そこで今回北欧カルチャーマガジン「Fika」では、彼女がファンの悩みに答える「お悩み相談室」を急遽実施。Instagramのストーリーに寄せられた「あっこゴリラへのお悩み・質問」は、30件以上。そのどれもが濃厚で興味深い内容のため、「全部答えてあげたい!」と悩ましげに叫ぶあっこに、時間の許す限り「お悩み」をぶつけてみた。

お悩みその1「将来自分がどうなりたいかわかりません。目標って決めなきゃだめですか?」

―今回、30件以上ものお悩みが届いています。さっそく始めていきますが、「将来の目標」についてあっこさんはどう考えていますか?

あっこ:決めなくていいと思います。私は自分の人生をエンジョイするための目標を設定して生きてますけど、友人の中には目標とか絶対に決めない人もいますからね。その日、やるべきことをしっかりやると言うことに集中するっていう。そいつ見てると「すげえな、悟ってんな」と思う。確かに目標なんて決めなくても、その人なりのベストを尽くせば必ずどこかにたどり着くわけだからさ。

あっこゴリラ
ドラマーとしてメジャーデビューを果たし、バンド解散後、ラッパーとしてゼロから下積みを重ねる。2018年に「再」メジャーデビューを飾り、台湾で撮影を敢行した“余裕”など、国内に限らず海外で制作したMVも話題に。さらに、同年12月1stフルアルバム「GRRRLISM」をリリース。2019年4月からJ-WAVE「SONAR MUSIC」でメインナビゲーターとして様々な発信をするなど、性別・国籍・年齢・業界の壁を超えた表現活動をしている。ちなみにゴリラの由来はノリ。

―ちなみに、あっこさんの目標は?

あっこ:「M.I.A.とコラボしたい」「『コーチェラ』に出たい」「10万人の前でドラムを叩きたい」「Netflixでドキュメンタリームービーを作りたい」あとは……って、めちゃめちゃあるな(笑)。それで最終的に「最強のイケてるババア」になるのが目標です。

お悩みその2「社会人です。留学したいけど金銭面が心配で勇気が出ません。あっこさんならどうしますか?」

あっこ:行きますね、私なら。金銭面はどうにかなるし、どうにかすると思うな。こんなの、お金なんかよりも海外で経験したことのほうが絶対に価値があるから、絶対に行くべきだと思う。

お悩みその3「あのとき憧れていた大人はどんなイメージでしたか? 思い描いていた大人になれたと思いますか?」

あっこ:10代の頃の私はガチガチの価値観の中で生きていたから、今みたいな自分になりたいとは思っていなかったですね。黒髪で落ち着いた人になりたかった。賢くて、気の利いたことをさっと言える女の人……今と全然違う(笑)。ただ、あのときの私の目の前に、今の自分が現れたら、めっちゃ楽だっただろうなと思うな。

お悩みその4「自分が合わせるのではなく、自分を貫くことでまわりが変わったという実感はありますか?」

あっこ:前回のインタビューで話したこととリンクしますよね。自分が変われば、よくも悪くも周りを変えている実感は結構ある。

―相手を変えたくて、でも変えることなどできずに苦しんだこともありましたか?

あっこ:あった! でも、それで思ったのは、「人を変えよう」なんておこがましい考えだということ。「全員を救う」とか、「全員に好かれる」とか絶対無理だから、せめて昔の自分に刺さるように、とか、昔の自分が楽になる方法はないか? とか、そういうことを考えて行動するようにしているかな。

お悩みその5「結婚する気がないのですが、結婚しないと安定できないと思いますか? 安定ってなんでしょう…」

あっこ:安定は、結婚してもできないと思います(笑)。安定したがるのは分かるんだけどね。だって大変じゃん、人間(笑)。マジで面倒くさいし「無理!」って思うことはたくさんある。けど、生きていたら安定することなんてない。本当に安定したかったら、出家するしかないんじゃないかな。

お悩みその6「私は今高3で進路選択(医療か服)でとても悩んでます。あっこさんは進路どのように決めましたか?」

あっこ:私もね、やりたいことメチャメチャあったんですよ。しかもなにひとつ花開いてなかったから、自分が本当に得意なものが全然わからなかった。「やりたい」と思うのと得意かどうかはまた別だったりするじゃないですか。なので、とりあえずやってみるのがいいと思う。ただ高校生の頃って、「みんなの中にいるときのキャラ」と「本来の自分」にズレがあると、なかなかやりたいことも大っぴらにやりづらいんだよね。でもそこを突破したら、世界は一気に拡がりますよ。

あと、どうして医療に携わりたいのか、どうして服を仕事にしたいのか、動機を突き詰めて考えてみることも大切かも。その上で、どちらのほうがやり甲斐を感じるのか考えてみてほしいですね。

―あっこさんだったら、全部試してみると。

あっこ:全部試して、それで失敗してみる。色川武大さんの『うらおもて人生録』という本に書いてあったんですけど、若い競走馬はまずフォームを決めずに走らせてみて、それで自分の限界が分かったところでフォームを教え込み、その中で走らせるんですって。やる前から頭でっかちになっちゃうのは人生損しまくりなので、一度全力でやってみて無知の限界を知る。それからフォームにこだわるのでもいいと思います。

―なるほど。「足るを知る」のは大切かもしれないですね。

お悩みその7「ビビリを克服したい」

―あっこさんもビビることありますか?

あっこ:本番前はビビリますね。特にアウェイな空間でやるときとかね。でも、そのビビリ感覚も楽しんだほうがいいんじゃないかな。たまに全く緊張しないでステージに上がると、かえってよくなかったりするんですよ。やっぱり、人になにかを届けるときには、それなりの切実さが必要で。相手の反応を引き受ける覚悟を持つとなるとビビって当然なんじゃないかな。克服する必要はないと思う。

ただ、ネガティブな気持ちに引っ張られるな、と。要するに、ビビリは、ネガティブに引き込まれるトリガーにもなるし、自分を盛り上げるガソリンにもなる。そこは、私も日々意識しているポイントかもしれないです。

お悩みその8「女性の生きづらさを日々感じて生きています。はねのけるためにはどうしたらいいですか?」

あっこ:女性の生きづらさって、例えばどんなことだろう?

―さっきの質問にも通じますが、「結婚して安定を求めるべき」「女性は子供を産むべき」といった世の中の「スタンダード」みたいなものに、自分でとらわれてしまった人の生きづらさは、年齢を重ねるほど強くなる気がします。

あっこ:ああ、なるほど。私が思うのは、自分を理解してくれる友達や仲間、恋人でもいいですけど、そういう存在がすごく大事なんじゃないかなと思います。

―確かに。周囲の環境を変えてみるというのは、解決法のひとつかもしれない。自分の生き方をひとりでも肯定してくれる人がいれば、結構楽しく生きていけるんですよね。

あっこ:絶対そう思う。

あと、「違うな」「モヤモヤするな」ってことは、小さいアクションでもいいから、自分に筋を通したらいいと思います。例えば、生理ナプキンを隠す紙袋を「いりません」と言ったり、男友達から悪気なく「ブスだな~」と言われたらヘラヘラごまかさずに屹然と「顔だけで判断すんのはダサいよ」と返したり。やり方は人それぞれだと思いますが、流されないで、自分の頭でしっかり考え続けて、行動する。その意識をもって生きると、確実に少しずつ、世界も自分も変えていけると私は思っています。

お悩みその9「バンドマンに恋してしまいました。ただのファンなのに、胸が苦しいです。諦めるべきですか?」

あっこ:ぶち当たったらいいんじゃないですかね(笑)。ただ、「ファンとバンドマン」の関係じゃ難しいんじゃないかな。その時点で対等じゃないですからね。まずは「ただのファン」というカテゴライズに自分を入れないこと。その人の作品は好きでも、対峙するときは「人」対「人」だっていう認識は大事だと思うな。

お悩みその10「アイドルになる夢がありますが、もう30歳です。今からでは遅いですか?」

あっこ:「今から遅い」ということはなにひとつないと思うので、年齢の枠におさまらない、年齢を気にしている人達がスカッとするようなカウンターアイドル期待してます!!

お悩みその11「いつも明るくイライラせず過ごすために、自分で自分の機嫌をとるには、なにをしたらいいですか?」

あっこ:そのときの自分のモードにもよるけど、例えばお買い物したり、友達と会ったり、ライブに行ったり、本屋に行ったり、サウナに行ったり。ただ、「いつも明るくイライラせずに過ごす」なんて無理じゃないかな。

―「明るく過ごせない自分」に対して不機嫌になってしまうというループに入っちゃいますよね。「そんなときもあるさ」って受け入れられると機嫌が直る場合もあるかもしれない。

あっこ:確かに。私は日記を書いているんですけど、そこには自分を褒めることばかりなんです。「今日はこれができた」「今日はこんないいことがあった」「最高」って(笑)。あと、大抵の不機嫌は低気圧か生理が原因だから、全部そのふたつのせいにしちゃうとかね。「イライラしてるのは私じゃなくて低気圧のせいだ」って。

お悩み12「やりたいことだけをやるために必要なものはなんだと思いますか?」

あっこ:やりたいことだけをやるためには、やりたくないことをやらないだけですよ。じゃないと、すぐ無理をしてしまったり、ムードに流されてしまいがち。「我慢すること」を「努力」と履き違えたり、分かっていても「これは努力なんだ、必要なことなんだ」と自分に言い聞かせてしまったりするんですよね。

―よく「やりたいことをやるためには、目の前のやりたくないことをまず片付けなければ」って言いますけど、それが「やりたいことのために必要なこと」なのか、「ただただ苦痛でやりたいことにも結びつかないこと」なのかの見極めは肝心だと思います。

あっこ:以前は私も、「やりたいことをやるためには、目の前のやりたくないことをまず片付けなければ」っていう考え方で生きていました。でも、そのせいでやりたいことが充分にできなかったりすると、すぐ環境のせいにしたりして落ち込んでばかりいて。ダサかったなと。一度きりの人生、自分のスタンスくらいは、しっかり持っていられる大人でありたいと日々思って生きてます。

出演情報
J-WAVE
『SONAR MUSIC』

毎週月曜日~木曜日21:00~24:00放送

イベント情報
『Flying Flags Vol.6』

2019年8月3日(土)
会場:仙台darwin
出演:
あっこゴリラ
Dos Monos
GAGLE
踊Foot Works(Minimal Live Set)

『SWEET LOVE SHOWER』

2019年8月30日(金)~9月1日(日)
会場:山梨県 山中湖交流プラザ きらら

『OTODAMA'18-'19~音泉魂~』

2019年9月7日(土)、9月8日(日)
会場:大阪・泉大津フェニックス

プロフィール
あっこゴリラ

ドラマーとしてメジャーデビューを果たし、バンド解散後、ラッパーとしてゼロから下積みを重ねる。2017年には、日本初のフィメール(女性)のみのMCバトル「CINDERELLA MCBATTLE」で優勝。その後、さまざまなアーティストとのコラボレーションも行う中、同年末、向井太一とのコラボ曲「ゲリラ」がSpotifyのCMに起用される。野生のゴリラに会いにルワンダへと旅をした模様を収めた「Back to the Jungle」、永原真夏と共にベトナムで撮影された「ウルトラジェンダー」、そして2018年に"再"メジャーデビューを飾り、台湾で撮影を敢行した「余裕」など、国内に限らず海外で制作したMVも話題に。さらに、同年12月1stフルアルバム「GRRRLISM」をリリース。女性の無駄毛をテーマにした「エビバディBO」、年齢をテーマにした「グランマ」など、世の中の"普通"を揺るがす楽曲を発表。その他、クリエイターを巻き込んでのGRRRLISM ZINEの発表や、2019年4月からJ-WAVE「SONAR MUSIC」でメインナビゲーターとして様々な発信をするなど、性別・国籍・年齢・業界の壁を超えた表現活動をしている。ちなみにゴリラの由来はノリ。



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About

「幸福度が高い」と言われる北欧の国々。その文化の土台にあるのが「クラフトマンシップ」と「最先端」です。

湖や森に囲まれた、豊かな自然と共生する考え方。長い冬を楽しく過ごすための、手仕事の工夫。

かと思えば、ITをはじめとした最先端の技術開発や福祉の充実をめざした、先進的な発想。

カルチャーマガジン「Fika(フィーカ)」は、北欧からこれからの幸せな社会のヒントを見つけていきます。

スウェーデンの人々が大切にしている「Fika」というコーヒーブレイクの時間のようにリラックスしながら、さまざまなアイデアが生まれる場所をめざします。

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