カジヒデキが90年代を再考 渋谷系とスウェディッシュポップを語る

カジヒデキが90年代を再考 渋谷系とスウェディッシュポップを語る

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:タイコウクニヨシ 編集:山元翔一

カジヒデキ

メランコリーとカラフルさがミックスされているところが、スウェディッシュポップの魅力。

—ここまでスウェディッシュポップの名盤5選をお伺いしましたが、改めて、カジさんはスウェディッシュポップの特徴や魅力をどのように定義しますか?

カジ:一番は、ポップなんだけど、メランコリックで哀愁漂うメロディーですね。それは日本人の琴線に触れる要素でもあると思います。あと、スウェーデンは冬が長くて夏が短いので、その短い夏を謳歌しようという気持ちが本当に大きいんですよね。「思いっきり日焼けして楽しみたい!」みたいな(笑)。そういう、夏に憧れる気持ちがカラフルさやポップさに表れているんじゃないかなと。メランコリーとカラフルさがミックスされているところが、スウェディッシュポップの魅力なのかなと思いますね。

エンジニアのステファン(左)、スウェーデンの4人組バンド・Ray Wonderのルードウィグ・ボス(右)とともに。写真は2004年ごろのもの
エンジニアのステファン(左)、スウェーデンの4人組バンド・Ray Wonderのルードウィグ・ボス(右)とともに。写真は2004年ごろのもの

スウェーデンの冬をテーマにしたカジヒデキ『Sweet Swedish Winter』を聴く(Apple Musicはこちら

—カジさんのEP『秋のオリーブ』がリリースされましたが、ジャケットは岡崎京子さんの『恋人たちⅡ』のイラストで、アーティスト写真やジャケットのインナーの写真は、1990年代に雑誌『Olive』で活躍していた天日恵美子さんが撮影しています。

カジ:サニーデイ・サービスが、昨年春に出したEP『桜 super love』のジャケットが岡崎さんだったじゃないですか。それに、映画『リバーズ・エッジ』の主題歌“アルペジオ”が小沢くんだったりして、なんとなく岡崎さんのことが頭の隅にあったんですね。

—今作には“夏の終わりのセシルカット”という楽曲も収録されていて、ジャケットも岡崎さんが描いたセシルカットの女性です。セシルカットというモチーフは、どこから出てきたのですか?

カジ:もともと着想のきっかけは、サニーデイのアルバム『the CITY』(2018年)に入っている“ジーン・セバーグ”という曲なんです。ジーン・セバーグといえば映画『勝手にしやがれ』(1960年公開、監督はジャン=リュック・ゴダール)のセシルカットだなって思っていたら、“夏の終わりのセシルカット”というタイトルがまず思い浮かんで。それで、セシルカットといえば岡崎さんしかいないなと思って、ジャケットにイラストを使わせてもらいたいとご相談したところ、ご快諾をいただいたんです。

カジヒデキ『秋のオリーブ』ジャケット
カジヒデキ『秋のオリーブ』ジャケット(Amazonで見る

カジヒデキのアーティスト写真 / 撮影:天日恵美子
カジヒデキのアーティスト写真 / 撮影:天日恵美子

カジ:天日さんは、僕が1998年から2年間『Olive』のエッセイ(「半魅力的な僕の生活 - Semi-Charmed Life」)をやらせてもらっていたときに、毎回僕を撮ってくれた方で、タイトルも『秋のオリーブ』だし、せっかくだからアーティスト写真を撮ってもらおうと。

天日さんには、そのとき以来にお会いしたんだけど、全然変わってなくて。撮影スタイルも当時のままで。いろいろリクエストをされる方なんですけど、なんかノせられてしまって(笑)。「かわいい」って言われながら撮ってもらいました。そういうのって、いくつになっても嬉しいもんなんですよね(笑)。

—“秋のオリーブ”のホーンセクションなどに、トーレっぽさを感じますね。

カジ:自分的にはそんなに意識してなかったんですけど、この曲をプロデュースしてくれた堀江(博久)くんのなかには、きっとあったのかもしれないですね。「カジヒデキといえば、スウェディッシュポップ」みたいなものが(笑)。

カジヒデキ『秋のオリーブ』収録曲

—同じように、「カジヒデキといえば、渋谷」と思う人も多いと思うんですよね。今、野宮真貴さんと「渋谷のラジオ」で番組も持っているし。さっきイェンス・レークマンが地元のことを歌うアーティストだとおっしゃっていましたが、カジさんは渋谷を「第2の地元」みたいに感じるところはありますか?

カジ:たしかに1990年代は本当に渋谷で遊んでもいたし、そこからムーブメントが生まれたりもしたから、自分にとってはすごく大きな意味のある街だと思っていました。ここ数年は渋谷区基本構想の歌(“夢みる渋谷”)を書かせてもらったこともあって、おっしゃるように第2の故郷的な気持ちはありますね。それはきっと野宮さんにもあると思います。

だから、今また渋谷といい感じで付き合えている気がします。恩返しというほどのことはできてないですけど、これからも何かしら貢献できたらいいなとは思っていますね。

カジヒデキ

Page 4
前へ

リリース情報

『秋のオリーブ』
カジヒデキ
『秋のオリーブ』(CD)

2018年9月5日(水)発売
価格:1,620円(税込)
DDCB-12104

1. 夏の終わりのセシルカット
2. 秋のオリーブ
3. きみはちから
4. 大好きな街 -My Fav City -
5. ピーキャン音頭

イベント情報

『LIVE「秋のオリーブ」』

2018年11月20日(火)
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
カジヒデキ
おとぎ話
堀江博久
※レコーディングに参加したおとぎ話、堀江博久のサポートで行うスペシャルライブです

プロフィール

カジヒデキ
カジヒデキ

千葉県富津市出身。1989年、BRIDGE結成。1992年にメジャーデビューし、1995年7月に解散。1996年にソロデビュー。「ラ・ブーム ~だって MY BOOM IS ME~」など数々のヒット曲を放ち、90年代の渋谷系を牽引した。2008年には映画『デトロイト・メタル・シティ』の音楽を担当。主題歌「甘い恋人」がスマッシュヒット。またDJイベント「BLUE BOYS CLUB」主宰やTBSラジオ『オーディナリーミュージック』、bayfm『SPACE SHOWER MUSIC RADIO』、渋谷のラジオ『渋谷のラジオの渋谷系』パーソナリティ、音楽フェス『PEANUTS CAMP』キュレーションなど、 音楽の紹介者としても幅広く活躍中。

Category カテゴリー

Latest Articles 最新の記事

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。