
高円寺メタルめし・ヤスナリオが語る、北欧文化とメタルへの愛
- インタビュー・テキスト
- 黒田隆憲
- 撮影:伊藤惇 編集:山元翔一
「普通のオシャレなカフェかな」と思った女子が間違って入って来ないかなと狙ってたりもする。(笑)
—実際にお店をオープンしてどうでした?
ヤスナリオ:いやもう大変でしたね。アルバイト含め飲食店の経験が全くなかったので、最初はなにをどうしたらいいのか全然わからなくて。でも、お客さんはみんな、「メタル好き」という共通項で集まってくれているので、とても優しいんですよ。ちょっとくらい料理を出すのが遅くなっても、「大丈夫、大丈夫」って言ってくださって。最初の数か月は、それで助けられましたね。
—へえー! いい話ですね。メタルのアーティストたちを可愛くデザインした壁画もいいですよね。メタルが持つ、ポップでキッチュな側面が引き出されていて、とても和みます。
ヤスナリオ:この壁画は、ずっとファンだった漫画家の堀道広さんにお願いしました。メタルとかあまりご存知じゃなかったみたいなのですが、無理にお願いして、あえてゆるいタッチで描いていただきました。
ヤスナリオ:ちなみにタイトルは、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』をもじって「最後のBurn餐」です(“Burn”はイギリスのハードロックバンド、Deep Purpleの代表曲)。このタイトルは堀さんが思いついて、「最後は食卓を燃やしちゃいましょう」と言って炎を描き加えてくださいました。
—(笑)。お店の内装もとっても素敵ですよね。真空管を模したライトとか、メタルと北欧雑貨が不思議と違和感なく馴染んでいます。
ヤスナリオ:ミックスカルチャーすぎて、ワケわかんないですよね(笑)。もともと僕は、メタルとは関係なく北欧カルチャーが好きで、食器なども集めていたので、その辺の趣味も自然と組み合わさっているんです。壁に貼ったタイルも北欧で人気のものだったりしますし。この界隈は古着屋さんとか多くて、「普通のオシャレなカフェかな」と思った女子が間違って入って来ないかなと狙ってたりもするんですよね(笑)。
イングウェイが好きなあまり、「イング米・マルメステーキ」というメニューも考案しました(笑)。
—メタルは様々なジャンルに細分化されていますけど、ヤスナリオさんが特に好きなのは?
ヤスナリオ:やっぱり北欧メタルですね。最近気づいたんですけど、北欧メタルのなかでも歌メロが美しく、ギターを構築していくような伝統的なスタイルが特に好きで。伝統的な北欧メタルは、とにかくメロディーが美しいんですよ。
僕の場合、どんなに激しいイントロがあっても、歌メロが綺麗じゃなきゃ受けつけなくて。なかでも好きなのがEurope(スウェーデン出身のハードロックバンド)なんですけど、僕ら世代の北欧メタル代表選手ですよね。
—今日、着ているパーカーはスウェーデン出身のイングウェイ・マルムスティーンのものですよね。イングウェイもお好きなんですか?
ヤスナリオ:大好きですね。彼はアメリカで速弾きを広めた北欧メタルの象徴的存在なんですよ。スウェーデンでも、ちょっとおもしろい人というか。オジー・オズボーン(ex.Black Sabbath)みたいな「おもしろキャラ」として捉えられているみたいで、「俺は貴族だ」と言いながらバラエティー番組に出てツッコまれたりしてるらしいんです(笑)。そういうところも含めて愛すべき人ですね。
ヤスナリオ:音楽的には、もともとクラシック畑で、ジミ・ヘンドリックスやリッチー・ブラックモア(ex.Deep Purple)を聴いてロックに目覚めた人。なので、クラシカルで美しい旋律と、ロックを融合させているところが魅力ですね。それは、のちの北欧メタルにも受け継がれていると思います。
イングウェイ・マルムスティーン『Trilogy』(1986年)を聴く
ヤスナリオ:イングウェイが好きなあまり、彼の名前をもじった「イング米・マルメステーキ」というメニューも考案しました(笑)。「丸めたステーキ=マルメステーキ」ということでハンバーグなんですが、つなぎにパン粉ではなくお米を使っているので「イング米(ベイ)」。ちょっとモチっとした食感で女子にも人気なんです。
さらに、彼のバンドであるRising Forceにちなんだ「ライジング・チーズ」というオプションがあって。お客さまに「ライジング・チーズしますか?」ってお尋ねして、欲しいとおっしゃる方にはチーズを乗せています(笑)。
プロフィール
- ヤスナリオ
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三度のメシよりヘヴィメタル好き!かもしれない、自称「料理勉強家」。「ホントはこういうのが一番ウマいんだよねぇ」と唸らせる、シンプルでカンタンな料理をブログで発信。雑誌、WEB、TV番組などへのレシピ提供も行う。2015年6月より、「高円寺メタルめし」をオープン。